商材にまつわる物語を販売に生かす−アフリカビジネスセミナー(3)−

(アフリカ)

中東アフリカ課

2012年08月01日

日本の食品輸入企業幹部が「アフリカビジネスの魅力」と題して講演し、現地の商材にまつわるストーリーを使って商品の魅力を訴えている、と語った。シリーズの最終回。

<商品の希少性が魅力>
食品・雑貨の輸入販売を手掛けるFAR EASTの佐々木敏行代表取締役は「アフリカビジネスの魅力」と題し、アフリカ企業との取引の様子やビジネス成功の秘訣(ひけつ)を語った。FAR EASTは1994年に設立され、2003年から食品事業に参入した。アフリカ、中東、南米、北米、欧州、アジアなどの約20ヵ国と貿易を行い、商品の企画・デザイン、営業・販売を一貫して手掛ける。

佐々木氏は「現地のモノをそのまま輸入するのではなく、商品や包装デザインなどを開発して市場に投入する開発輸入」が同社の特徴で、「商品価値を最大限に引き出してハイエンド市場に持っていくのが使命だ」と述べた。「商品サイクルの早い日本市場のペースに生産者を巻き込むのは避けたい」とし、大量生産ではなく「細くても長く持続するビジネス」を目指す。

アフリカ商品の強みは、市場に「知られていない」こと。商品の「新規性」「希少性」が市場での魅力になる。また、アフリカ商材の背後には「豊富なストーリーがあり、商品コンセプトを意味付けする材料が多い」ため、「産地の話と文化にのせて商品を表現しやすい」とその利点を語った。これまで同社が開発したアフリカ産品には、エジプトのデーツ(ナツメヤシ)、ウガンダのオーガニックドライフルーツ、ジプチの塩などがある。

また、販売促進に当たっては、この「商品の背後にあるストーリー」を利用して商品の魅力を訴えるほか、百貨店や高級ホテルとの取引から始めることで、「商品の信用」を高めるという。「品質管理の厳しい百貨店や高級ホテルが使っているということで、市場の信頼が得られ販路拡大につながる」と説明した。

<改善による成功体験を現地生産者と共有>
一方、アフリカの食材は加工水準が低く、製造過程での衛生指導から始めるケースもある。佐々木氏は「現地の生産者に日本の品質管理基準を理解してもらうのは難しい。理解が得られるには言葉で説明するだけでは不十分だ」とし、理解を促すためには「改善による成功体験を共有することが大切」と強調する。具体的には、「商品を改善したらその分だけ売り上げが伸びる。売り上げが伸びれば収入が増え、生活の水準を向上できる」ということを、実際に経験させることが理解につながるとした。エジプトのドライデーツを開発した際には、「当初は実に虫が付着して売り物にならず、製造ラインの衛生を改善した」と紹介し、「虫をオーガニック手法で完全に取り除くまでに4年の歳月がかかった」と苦労を語った。

同社の事業は、ジェトロの「開発輸入企画実証事業」(2010年度、11年度)に採択され、ウガンダのオーガニックドライフルーツの開発も手掛けた。同事業は開発途上国、特にアフリカ諸国と、後発開発途上国(LDC)からの輸入ビジネスを考える日本企業から、開発途上国産品の開発輸入事業企画を募集し、採択された案件についてジェトロが当該国への出張費用、商品開発・改良にかかる費用、サンプル輸入費用などの経費を支援するほか、海外事務所ネットワークを通じた現地情報提供などの側面支援を行う。

FAR EASTはこの事業を活用し、商品のサンプル分析、現地での技術指導、日本市場での需要調査などを行ったほか、販売プロモーションのために、展示会出展を呼び掛けたり、現地生産者を研修に招いたりした。佐々木氏は「事業を利用して現地生産者を日本に招待できたのは有益だった。日本の狭い工場で効率よくモノづくりをする様子はウガンダ人に感銘を与えた」と話した。また、生産者が日本での展示会に参加し、「自分たちの商品に対する反響を知ったことでビジネスの実感を得ていた。この経験は現地に帰って仲間の生産者にも伝えられ、大きな励みになっている」と紹介した。

さらに、アフリカビジネスを検討する企業に対しては、「まずは現地に足を運ぶこと。アフリカには知られていないビジネス機会がまだ豊富にある」と呼び掛けた。

なお、アフリカビジネスセミナーは、7月23日に大阪で、24日に名古屋でも開催され、食品の輸出入販売を手掛ける小林桂と、ヴォークス・トレーディングがアフリカビジネスの魅力を紹介した。

(高崎早和香)

(アフリカ)

ビジネス短信 5015fef517ed0