無関税輸出に上限枠、メキシコの現地調達率引き上げ−ブラジル・メキシコ自動車協定交渉が妥結−

(ブラジル、メキシコ)

サンパウロ発

2012年03月19日

2月から始まったブラジル・メキシコ間の自動車協定の見直し協議について3月15日、両政府は合意したことを確認した。具体的な変更点は、新たに自動車の無関税輸出に上限枠を設定することと、メキシコ側の現地調達率の段階的な引き上げだ。今回は協定廃止を迫られたメキシコ側が譲歩したとみられる。

<メキシコがブラジルに譲歩>
両国間の自動車協定見直し協議について、両国政府は閣僚級協議を経て、3月15日に合意した。ブラジル側は2月初めから協定の廃止も含めた見直しをメキシコ側に表明(2012年2月10日記事参照)。閣僚級の協議をブラジルで2度開催した後、3月14日から今度はメキシコに場所を変え、協議を継続してきた。今回の合意は3月19日に発効する。

主な変更点は、自動車の無関税輸出に上限枠を設定することと、メキシコ側の現地調達率の段階的引き上げだ。

自動車の無関税輸出の上限枠を、最初の年(2012年3月19日〜13年3月18日)は14億5,000万ドル、2年目は15億6,000万ドル、3年目は16億4,000万ドルに上げる。上限枠の設定は3年間の暫定措置で、その後は上限枠を撤廃することで合意した。

メキシコ側の現地調達率は、これまでの30%を13年3月19日までに35%に、16年3月19日までに40%に引き上げる。また、15年3月19日から16年3月18日までの間、両国政府は45%に引き上げる可能性について検証することでも合意した。

なお、両国間の協議の俎上(そじょう)に上がっていた、大型車などを協定の対象に盛り込むことは含まれなかった(2012年3月12日記事参照)。今回の協議を通じて、相互のアクセスを実現するための諮問を行い、技術面と環境面での規制の統一を図る。

<日系メーカーを中心に戦略の見直しも>
今回の合意によって、11年にメキシコからブラジルに約20億ドル輸出されていた自動車輸出は制限されることになる。無関税輸出の枠をどのようにメーカーを割り当てるのかなど、課題は残りそうだ。

また、当地メディアも報じているように、メキシコを拠点にブラジル向け輸出を増やすため投資拡大を発表した一部の日系自動車メーカーは、戦略の見直しを迫られる可能性もある。

(紀井寿雄)

(ブラジル・メキシコ)

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