インドからの輸入にネガティブリスト制導入へ

(インド、パキスタン)

カラチ発

2012年03月13日

政府は2月29日、インドへの最恵国待遇(MFN)供与に向けて、1,209品目のネガティブリストを決定した。同リストは、2012年12月末までに撤廃され、パキスタンのインドに対するMFNが完成する。商務省幹部によると、今後予定されている通達発令をもって、正式に導入される。

<医薬品、繊維製品、自動車部品関連など1,209品目>
ネガティブリストは3月5日現在、明らかにされていない。関係者の話や報道などを総合すると、12月の廃止に向けて、品目ごとに段階的に関税を削減する見通し。ネガティブリストは当初、インドのシャルマ商工相がパキスタンを公式訪問中の2月14日に決定、通知される予定だったが、繊維省、生産産業省の反対などで決定が延期されていた。

現在、パキスタンはインドからの輸入について、ポジティブリストにより合計約2,000品目だけを認めており、それ以外の品目の輸入を禁止していた。この措置は、加盟国に同等の貿易条件を与えるというWTOのルールに違反していたが、政府は、インドには非関税措置がある(内国民待遇が得られていない)と主張していた(インドは、パキスタンに対し1996年にMFNを供与済み)。

11年2月、パキスタンとインドは、存在するすべての問題について協議入りすることに合意し、4月の商務次官級会議の場で、インドがMFNの供与を要求していた。11年11月、パキスタン政府は閣議で、インドに対するMFN地位供与の準備を進めることを決定した。一方、インドは、EUが提案していた10年7月のパキスタンを襲った洪水復興支援措置としての一時的な関税優遇について、WTO協議の場での反対を取り下げることを表明していた(2012年2月15日記事参照)

MFN供与に当たって、産業界は総論賛成、各論反対の状況にあり、2月に商務省が閣議に提示したネガティブリストは636品目だったが、生産産業省などの反対で最終的に1,209品目となった。

パキスタン商工会議所連合会のタワブ副会頭は、12月末のネガティブリスト廃止について、10ヵ月間では産業界は(インド産品との競合に)対応できない。少なくとも3年間の猶予は必要と、急激な政策の変更に懸念を示した。

パキスタン医薬品製造業協会は、医薬品の最終製品についてネガティブリストとすることを希望、繊維産業では、全パキスタン繊維製造業協会が、インド側の非関税障壁撤廃を求めた。自動車部品工業会も、保護策と輸入政策の修正が行われない限りは、業界が大きな被害を受けるとして、原材料、設備機械、治具などを除いた自動車関連部品の輸入に反対、まずは、自動車産業開発計画の実施、構造改革と政策の変更、能力強化、両国の品質基準の統一を要求していた。特に、ネガティブリスト決定後は、12月末までのネガティブリストの廃止に強く反対している。

(白石薫)

(パキスタン・インド)

ビジネス短信 4f5d7bd66d600