外国投資に関する法制度の見直し進む
ヤンゴン発・アジア大洋州課
2012年03月02日
新政権は現在、外国投資に関する法制度を見直している。まだ途中段階のため、その都度、最新の情報を確認する必要はあるが、土地所有や外貨送金など投資の際に重要な事項の見直しが着実に進んでいる。また今後は、外国投資に当たって、中央政府だけでなく地方政府の許可も必要になるようだ。
<民間からの土地借用が可能に>
テイン・セイン大統領が率いる新政権の取り組みの1つに、1988年11月に制定された外国投資法の改正がある。改正法案は、2012年1月から開催されている第3回議会、または次回議会で審議されるとみられるが、主なポイントとして、現行3年間の法人税免除期間の延長、ミャンマー人の雇用義務、環境保護などが盛り込まれているようだ。法改正に先立ち、11年9月30日には外国投資に関する優先度の高い制度が2つの通達で変更されているが、それらも改正法案に盛り込まれる見込みだ。
通達の1つは、「土地借用に関する通達(No.39)」で、従来、外国投資を行う場合は政府所有の土地を借りなければならなかったが、民間企業から借りることもできるようになった(1987年の不動産取引規制法の改正)。ミャンマーの民間企業は、外国企業に土地・建物を貸すことができ、また、土地・建物を現物出資することで外国企業との合弁企業を設立できるようにもなった。過渡期のため、今後の運用を見極める必要もあるが、この方法で投資認可手続きを進める事例も出てきている。
<外貨送金規制も緩和の方向>
もう1つは、「外国通貨取引に関する通達(No.40)」で、国内での外国通貨払いのための口座振替、現地パートナーなどへの外国通貨の口座振替などが認められた。振り替えられた外貨は、輸出で稼いだ外貨(輸出外貨)と同様に扱えるようになった(注)。
通達には、海外への外貨送金に関する記述もある。従来の運用でも、輸出を通して外貨で稼いだ後に利益が残った場合、ミャンマー投資委員会の認可を得て配当を海外に送金することはできたが、国内販売でチャットで稼いだ場合は、それをドルに両替して海外に配当送金することは禁じられていた。
しかし、今回の通達では、後者の場合でも海外に送金できると読める条項が入っている(同通達第20条)。関係各所に取材したところ、チャットを市場レートに近い価格でドルに両替して送金ができるようだが、現時点では実例が把握できていない。例えば、国内市場をターゲットに海外から原材料を輸入し、国内で製造・販売するような輸入代替産業の場合、または完成品を輸入・販売するような場合(スーパーマーケット、ショッピングセンターなど)は、投資判断の前に慎重に検証する必要がある。
新しい通達の下で、少しずつ外資系企業の設立が認可されたという話を聞くようになっているが、法制度が見直されている最中ということもあり、認可手続きが全体的に遅れているようだ。実際の工場認可・設立までには多少の時間が必要だろう。
<地方政府の許可も必要に>
外国投資に当たり、今後は中央政府だけでなく地方政府に許可を得なければならないケースも出てきた。新政権が誕生した際、7地域と7州の地方政府が誕生した(それまでは事実上、地方自治体は存在していなかった)。定義は明確ではないが、単なる企業設立、工場建設ではなく、地方の土地を活用して大規模に事業をするような場合(例えば、工業団地開発、住宅地の造成、大規模農園などが考えられる)などは、地方政府の許可を得て投資手続きする必要があるようだ(通達No.39・第11条に規定)。実際には地方政府の許可を得た上で、中央政府に投資認可申請を出すという手続きになる。
地方政府も地域の雇用創出、歳入確保を求められ始めており、地方政府が地場企業を誘致するような例(縫製工場、物流センターの誘致など)も実際にみられる。今後、地方政府との関係を模索する必要も出てきそうだ。
(注)輸出第1政策の下、輸出で稼いだ外貨の範囲内でしか輸入することができない。今回の通達により、輸出で稼いでいない外貨でも輸出外貨と同様に扱えるようになった。
(小島英太郎、水谷俊博)
(ミャンマー)
ビジネス短信 4f4f38745b4f0





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