12年のユーロ圏、3年ぶりのマイナス成長に−欧州委の中間経済予測−

(EU)

ブリュッセル発

2012年02月24日

欧州委員会は2月23日、中間経済予測を発表し、EU27ヵ国の2012年の実質GDP成長率を0.0%と、秋季経済予測(11年11月発表)から0.6ポイント下方修正した。また、ユーロ圏の12年の実質GDP成長率はマイナス0.3%と、前回予測から0.8ポイント下方修正した。予測どおりにマイナス成長となれば、リーマン・ショックの打撃を受けてマイナス4.3%だった09年以来3年ぶり。

<GDP成長率はEU、ユーロ圏ともに下方修正>
欧州委員会は中間経済予測(PDF、注)で、EU27ヵ国の12年の実質GDP成長率を0.0%、ユーロ圏17ヵ国はマイナス0.3%と発表した。11年11月の秋季経済予測(2011年11月11日記事参照)のEU27ヵ国0.6%、ユーロ圏0.5%と比べ、それぞれ0.6ポイント、0.8ポイント下方修正された。

国別でみると、12年にマイナス成長と予測されているのは9ヵ国で、ベルギー、ギリシャ、スペイン、イタリア、キプロス、オランダ、ポルトガル、スロベニア、ハンガリー(表1参照)。ユーロ圏が8ヵ国を占める。中でも景気悪化が目立ったのは、ギリシャ(マイナス4.4%)とポルトガル(マイナス3.3%)で、イタリア(マイナス1.3%)、スペイン(マイナス1.0%)を含め南欧諸国が並んだ。

一方、プラス成長と予測されているのは17ヵ国。中でもポーランド(2.5%)、リトアニア(2.3%)、ラトビア(2.1%)が2%以上のプラス成長とされ、南北格差が浮き彫りになっている。

表1EUおよび主要国の実質GDP成長率(予測)

欧州委のオッリ・レーン副委員長(経済・通貨問題担当)は「成長は行き詰まりをみせているが、安定化の兆しはみえている。欧州の財政安定化、持続可能な経済、雇用創出の条件整備に不可欠な手立てを尽くしており、こうした断固たる行動をもって、経済安定化から成長と雇用の促進へ踏み出すことができる」と述べた。

また、同副委員長は、景況感指数など各種の信頼指数が改善しつつあることなどを指摘し、「予想される景気減速は緩やかで、一時的なものにとどまる可能性を示している。しかし、景気の先行きを確認するにはまだ数ヵ月必要で、それは基本的に今後の政策決定にかかっている」と述べた。

欧州委は、秋季予測で想定されたより時間はかかるものの、12年後半にかけて、経済は穏やかな回復軌道に乗ると予測する。ただし、欧州債務危機の影響が長引き、内需に悪影響を与えることがあった場合など、景気の下振れリスクがあることも警告した。また、今回の予測はこれまでに判明している各国の財政再建策をベースにしているが、いくつかの国では、金融市場の信頼回復のため新たな措置を取らなければならない可能性がある、と指摘。その場合、短期的にはGDP成長率にマイナスの影響を及ぼすこともあると述べた。

<消費者物価は上方修正>
景気が大きく減速する一方、消費者物価上昇率が予想より上昇している。12年予測は、EUが2.3%、ユーロ圏は2.1%と、秋季経済予測から、それぞれ0.3ポイント、0.4ポイント上方修正された(表2参照)。上方修正には、原油価格の高騰、付加価値税(VAT)など間接税の引き上げの影響などが考えられる。

ただし、消費者物価上昇率は、経済成長の鈍化の動きを受け、12年の後半に向けて、緩やかに低下していくとしている。

表2EUおよび主要国の消費者物価上昇率(予測)

(注)欧州委は、年2回(春季経済予測と秋季経済予測)、詳細な予測値を発表するほか、この両経済予測の合間の時期に定期的に年2回、GDP成長率と消費者物価上昇率について中間経済予測を発表している。これまでは一部の国の成長率しか発表しなかったが、今回はすべての国の予測値を発表した。

(小林華鶴)

(EU)

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