内閣改造、新商工業相は親日派の実力者
リヤド発
2011年12月21日
アブドゥッラー国王は12月14日、4人の閣僚交代を伴う内閣改造を発表した。ビジネスへの関連が深いのは、新しく商工業相になったタウフィーク前商工業省工業担当次官兼サウジ工業団地公社(MODON)総裁。実力を備えた有力者と評される親日派だ。「日本・サウジアラビア産業協力タスクフォース」のキーパーソンの1人でもあり、両国のビジネス関係進展に大きなプラスになると期待される。
<内閣改造は小幅、4人が交代>
今回の内閣改造は意外なタイミングで発表され、小幅な改造になった。新閣僚の共通項は、いずれも米国留学経験があり、政府関係機関や政府諮問議会の要職を歴任したテクノクラートで、前の閣僚よりも若い世代(1950年代以降生まれ)ということだ(表参照)。
新閣僚は実力の面でも、各方面から高い評価を得ている。国家産業クラスター開発プログラム(NICDP)のメイムーン部長は「実力者として評価が高く、従前の予想どおり」と述べており、今回の内閣改造を決めた政府の中枢部はもちろん、現場レベルからも実力者として認められていることがうかがえる。
<日・サのビジネスに好影響、タウフィーク新商工業相に期待大>
日本・サウジのビジネス関係の観点から特に注目したいのが、タウフィーク・アル・ラビーア新商工業相だ。商工業省は、その名のとおり、産業育成や貿易、投資環境の整備など、ビジネスに深く関連する制度や政策を担当する。政府の意思決定は基本的にトップダウンのため、商工業相の意向で両国のビジネス関係が左右される可能性が高い。
タウフィーク氏は、前職は同じ商工業省の工業担当次官兼MODON総裁だった。米国ピッツバーグ大学に留学してコンピューターサイエンスの博士号(Ph.D)を取得後、サウジアラビア総合投資院(SAGIA)のICTセクター担当の事務局長などを歴任した。多数の政府機関(王立委員会、国家産業クラスター開発計画、サウジアラビア総合投資院、人材開発基金、工業開発基金、鉄道公団など)で評議員を務めている。
同氏はMODON総裁就任後、従来の工業団地とは異なるコンセプトの「工業都市」の開発、インフラ整備、環境管理などに取り組み、新たな施策を矢継ぎ早に打ち出して、組織改革にも成果を挙げてきた。親日派でもあり、直近では2010年10月に来日。MODONが管轄する工業団地での環境管理の参考にするため、川崎市内の工業団地やリサイクル工場などを視察している。
サウジ商工会議所連盟のバハレイワ国際局長は、タウフィーク新商工業相について、「若いので驚いているが、大変スマートな人物で、適材といえるのではないか」とコメントしている。
特筆すべきは、タウフィーク氏の「日本・サウジアラビア産業協力タスクフォース」(注)への貢献だ。同タスクフォース活動による投資成果の1つ、いすゞ自動車のサウジ進出(11年2月発表)は、進出検討段階や進出発表後の現地法人設立準備について、タウフィーク氏の強力なサポートを得て行われた。同氏は商工業相に就任したことでタスクフォースを率いるサウジ側代表の立場になる。
タスクフォースは、12年2月1〜2日に東京で「日本・サウジアラビア産業協力フォーラム」を計画しており、親日派で、タスクフォースのキーパーソンとして両国の産業協力に大変積極的なタウフィーク氏は、サウジ側派遣団の団長として来日する予定だ。このフォーラムをはじめ、両国のビジネス関係がますますの盛り上がりを期待される。
(注)07年に両国の首脳間合意に基づいてスタートした、日本企業の投資促進などの産業協力活動に、双方の官民を挙げて取り組む枠組み。投資促進は、サウジ側は商工業省の下部組織のNICDPが、日本側は中東協力センターが事務局になり、ジェトロとともに活動している。
(佐竹繁春)
(サウジアラビア)
ビジネス短信 4ef015a340b28





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