欧州委、認可食品添加物のリストを更新−新たにステビアの使用を許可−

(EU)

ブリュッセル発

2011年11月24日

欧州委員会は11月11日、食品添加物に関する3つの規則を採択し、食品と食品原料成分への使用が許可されている食品添加物のリストを更新した。また、食品添加物としてステビアの使用が許可された。

<食品ごとの認可状況を一覧化>
欧州委の発表によると、今回採択した規則は、食品添加物のリストを更新する欧州委員会規則2つと、新たにステビアの使用を認める欧州委員会規則の計3つ。

1つ目の欧州委員会規則1129/2011(PDF)は、食品に含まれる使用可能な添加物のリスト(欧州議会・理事会規則1333/2008の付属書2)を更新したもので、食品ごとに認可されている食品添加物が一覧できるようになった。同リストにより、消費者、食品事業者、監督官庁などの関係者が食品ごとに使用可能な添加物を把握しやすくなる。また、添加物リストはオンラインデータベースでも閲覧可能で、食品別からの絞り込み検索や、食品添加物名、または食品添加物番号(E番号やINS番号)を直接入力して検索できる機能もある。食品業界の同規則への対応期間を考慮し、13年6月1日から適用を開始する。

2つ目の欧州委員会規則1130/2011(PDF)は、食品原料成分(ほかの添加物、酵素、香辛料や栄養素)に含まれる添加物のリスト(規則1333/2008の付属書3)を更新したもので、11年12月2日から適用を開始する。

EUの認可食品添加物は、1988年に定められた枠組み指令(89/107/EEC)が基になっており、具体的な食品添加物リストは、甘味料の指令(94/35/EC)、着色剤の指令(94/36/EC)、その他の添加物の指令(95/2/EC)の3つの指令の中でリスト化されていた。08年12月に認可食品添加物に関する規則1333/2008 が採択され(09年1月に発効し10年1月から順次適用開始)、これらの食品添加物の指令が統合された。指令であれば、加盟各国の国内法化が必要になり、事業者が実際に順守しなければならないのは各国の国内法だった。規則は加盟各国の国内法化を待つ必要がない。今後は、EUの規則が事業者に直接適用されることになる。

しかし、同規則1333/2008では、3つの旧指令の食品添加物リストを要件適合性のレビューを実施した上で付属書2、3のリストを作成するとし、それまでの間は、旧指令のリストを適用すると定めている。このため、EUで認可されている食品添加物を確認するためには、旧指令の添加物リストを参照する必要があった。

今回の欧州委員会規則1129/2011と1130/2011によって、これまで3つの指令にまたがってリスト化されていた食品添加物表を一覧できるようになり、利用者にとって分かりやすくなった。また、食品添加物の一覧化に加え、添加物別に使用できる条件や制約なども詳細に記載されている。さらに、許可されている添加物のリストが、食品のカテゴリー別に表示されるようになり、見やすくなった。

また、新しいリストによって、無香料のヨーグルト、バター、コンポート、パスタ、パン、蜂蜜、水、果汁飲料では、使用が許可されている添加物が非常に限られていることや、添加物自体が全く許可されていないものがあることがより明確になった。一方、菓子類、スナック、ソース、味付きドリンクなどの加工食品には、多くの添加物の利用が許可されている。

<ステビアは摂取量が少なければ安全と判断>
欧州委はまた、リストの一覧化とともに、安全性の見直しを踏まえ、ステビア配糖体(Steviol glycosides)の使用を許可する欧州委員会規則1131/2011(PDF)も採択した。12月2日に発効し、適用を開始する。これまで、欧州食品安全局(EFSA)は、ステビアの安全性について検査してきたが、ステビアの1日当たり摂取許容量(ADI)が少なければ安全だと認め、ADIを4ミリグラム(体重1キロ当たり)と設定した。同規則により、甘味料としてステビアを利用することが正式に許可された。

<20年までにすべての食品添加物の見直しを実施>
規則1333/2008では、ほかにも既に認可されている食品添加物の再評価プログラムや、事業者が食品添加物の新用途を申請するためのガイドラインなども設定している。今回ステビアの使用を認可したのもガイドラインに従ったもの。なお、新規物質の申請の手順については、欧州委のウェブサイトで確認できる。

食品添加物の再評価プログラムの詳細については、欧州委は10年3月、欧州委員会規則257/2010(PDF)を採択した。再評価はEFSAが担うことになっており、許可されているすべての食品添加物の再評価を20年までに実施しなければならない。再評価の最優先項目は着色剤で、欧州委は既に17の着色剤については評価を終え、このうち3つの着色剤の使用許可量を減らすことを提案した。そのほかの再評価での優先項目として挙げられている人工甘味料のアスパルテームは、12年9月までに見直しを実施する予定。

(小林華鶴)

(EU)

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