WTO加盟後に知財権関係料金改定へ−居住者と非居住者の区分を撤廃−

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2011年11月11日

現行の特許出願料を含む知的財産権関係料金は、出願者が居住者と非居住者の場合で課金体系が分けられており、非居住者向け料金の方が高く設定されている。政府はWTO加盟を念頭に、加盟日を期にこれを是正し、出願者が居住者、非居住者にかかわらず一律の料金に改めることを決定した。

<WTO協定に準じて統一料金を設定>
現行の知的財産権関係料金は居住者と非居住者で課金が異なり、ほとんどの場合、非居住者向けの方が高い。例えば、特許出願の基本料金は、非居住者向けが居住者向けの4.5倍になっている(表参照、注)。

WTOの「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」では、自国民に与える待遇よりも不利でない待遇をほかのWTO加盟国に与えるという内国民待遇が規定されていることから、政府は施行日をWTO加盟日として、特許出願料を含む知的財産権関係料金の課金体系に設定されていた居住者、非居住者の区分を撤廃し、統一料金を設けた。

ロシアのWTO加盟については、2国間交渉で唯一残っていたグルジアとの交渉が11月7日に両国政府間で基本合意に達し、11月9日に妥結文書に署名した(2011年11月8日記事参照)。その後多国間交渉に移り、最終的に12月に行われる予定のWTO閣僚会議で承認されればロシアのWTO加盟が実現する。

ロシアにおける知的財産関係料金の例(一部抜粋)

(注)「工業所有権の保護に関するパリ条約」に加盟し、1人当たりGNPが3,000ドル以下の国の非居住者については、一部の料金で例外が設けられている。

(浅元薫哉)

(ロシア)

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