船積み書類に放射線検査の証明書添付を要求−紅海の9港−

(エジプト)

カイロ発

2011年09月07日

紅海港湾庁は、スエズ港など同庁管轄の9つの港を利用する日本からの貨物に対して、放射線検査の証明書を添付するよう在エジプト日本大使館に伝えた。今後、同庁が指定した港に貨物を陸揚げする場合は、放射線検査証明書を添付することが望ましい。

<国交省が定める証明書を推奨>
エジプトでの日本製品の輸入規制について、緩和・撤廃など改定の動きはないが、このほど一部の港で追加的な規制措置が課された。

在エジプト日本大使館の情報によると、8月15日に大使館員が紅海港湾庁長官と面談した際に、同長官から、日本からの貨物が紅海沿岸の同庁管轄の9つの港を利用する場合は、船積み書類に放射線検査の証明書を添付するよう要求された。

今回対象となる紅海沿岸の9つの港は、スエズ港、サファガ港、アダビア港、ソフナ港、シャルム・エル・シェイク港、アル・トゥール港、ヌウェイバ港、ペトロリウムドック港、ハルガダ港。近年、ソフナ港の港湾設備が充実したことで、従来アレクサンドリア港やポートサイド港などの地中海沿岸の港に陸揚げされていたカイロ向けの貨物は、スエズ運河を利用する必要のない紅海沿岸のソフナ港の利用に切り替えられているようだ。

今回の措置は、日本からの貨物でエジプトが定める放射線基準値を上回るものが、同庁管轄の港に到着したことが背景にある。今後、放射性物質に汚染された貨物が到着することを避けたいと考える同長官の判断で、日本側にこうした要求が行われた。今後、船積み書類に放射線検査証明書の添付がなければ、貨物を隔離した上で検査を実施するため、通関・検査手続きに相当な時間がかかってしまうというのが同長官の見解だ。

今回の措置に関して、長官令が出されたわけではなく、特段の法的根拠はない。義務化されたものでもない。また、同庁管轄以外のほかのエジプトの港で、こうした措置が共通して適用されるものではなく、同庁独自の適用措置であることに注意が必要だ。

なお、検査方法とその結果の判断は、エジプト側の基準に委ねられており、日本側が証明書を添付していたとしても、その貨物の通関が保証されるものではなく、エジプト側の検査結果によっては、通関が認められない場合もある。

今回の措置は、日本側の放射線検査の証明書があれば、その貨物が優先的に通関・検査されるというもので、証明書のない貨物は、通関・検査を後回しにされることになる。また、日本側の放射線検査の証明書に関して、特段、同庁からの様式・書式の指定はない。そのため、日本大使館から検査証明書について、同庁長官に確認したところ、日本の国土交通省が「港湾における輸出コンテナの放射線測定のためのガイドライン」で定める証明書であれば問題ない、との了承を受けたという。従って、日本の国土交通省が定める証明書が推奨されるが、今回指定された9つの港を利用する場合は、事前に利用船会社やエジプト側の輸入取引会社に照会・確認の上、船積み・発送することが望ましい。

(高宮純一)

(エジプト)

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