大連市、第三次産業が倍増し副省級市でトップに(遼寧省)−2010年の対中直接投資動向(4)−
大連発
2011年03月31日
遼寧省の2010年の対内直接投資(実行ベース)は、前年比34.4%増の207億5,000万ドルで、江蘇省に次いで全国第2位だった。中でも大連市の実行額は、第三次産業分野が大幅に増加し、全国15の副省級市の中でトップの100億3,100万ドルとなった。各種国家プロジェクトに加え、13年は瀋陽で全国スポーツ大会が開催される予定で、投資が活発化している。11年は省全体で240億ドルの誘致を目指す。
<香港の不動産投資を中心に大幅増に>
10年の遼寧省の対内直接投資は、契約件数が前年比9.2%減の1,480件、契約額が9%減の256億3,500万ドルとなったものの、実行額は34.4%増の207億5,000万ドルで、江蘇省に次いで全国第2位だった。投資は大連に集中している。実行額は省全体の48.3%を占め、全国に15ある副省級市の中でトップの100億3,100万ドルと、初めて100億ドルの大台を突破した(表1参照)。省都の瀋陽は、契約件数、契約額、実行額とも減少した。
全国の対内直接投資実行額は1,057億ドルだったので、遼寧省だけで全国の5分の1、大連市だけで10分の1を占める。東北地区は「東北振興計画」など国家プロジェクトが進展し注目を集めているが、その中でも高成長が続き発展の潜在力が大きい地域として、遼寧省とりわけ大連に投資が集中していることがうかがえる。
遼寧省の対内直接投資実行額を国・地域別にみると、香港が前年比70.2%増の114億7,700万ドルと大幅に増加した(表2参照)。香港貿易発展局大連事務所によると、ここ数年来、投資の中心は不動産関連だ。以下、韓国、日本、英領バージン諸島、台湾と続き、上位5ヵ国・地域で全体の約8割を占める。
<目立つサービス産業の事業展開>
大連市の対内直接投資実行額を国・地域別にみると、香港からの投資が前年の2.7倍の51億3,760万ドルと際立っている(表3参照)。
目を引くのはリゾート地のある金州新区への不動産開発関連投資。世茂集団(SHIMAO Group)によるテーマパーク建設「世茂嘉年華プロジェクト」は、10年4月着工の第1期工事に50億元が投じられる。また、和記黄埔(ハチソンワンポア)は商業施設と住宅建設のため、12億7,000万元を投じて約32万平方メートルの土地を確保済みだ。そのほか、嘉里集団が5つ星級のシャングリラホテル建設を決めている。
産業別にみると、第三次産業の伸びが顕著で、10年の実行額は約2倍の71億6,214万ドルとなった(表4参照)。不動産開発関連投資以外にも、各国企業が現代サービス産業分野で事業展開を進めている。
オリックスは10年1月、中国本社の営業を開始し、観光・不動産開発などを手掛ける大連海昌集団の傘下企業に資本参加した。10月には政府から地域本部の認定を受け、投融資事業を本格化させている。12月には41階建て2棟による中国本社ビルプロジェクトも開始した。造船業世界第4位の韓国STXは、1億8,700万ドルを投じて投資性公司を設立し、造船関連事業への投資などを幅広く展開していく予定だ。
IT関連企業の進出も堅調だ。大連は日本のオフショア開発拠点、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)拠点として存在感を増しているが、10年も損保ジャパングループによるシステム開発会社の設立、野村総合研究所や野村ホールディングスによるBPOサービス提供会社設立など、大手企業の進出が続いている。
製造業は2.8%の微増だった。韓国ポスコが船舶向けの厚板加工工場を設立(投資額3億ドル)したが、新規の大型案件は少なく、米グッドイヤーの工場増床(投資額1億2,500万ドル)、韓国STXの増資(4億ドルから30億ドルへ)など既進出案件の事業拡大関連投資が目立った。
<国家プロジェクトを背景に11年は240億ドルを目標>
09年7月に「遼寧沿海経済帯発展計画」が国家プロジェクトに格上げされ、計画対象地域になっている沿海6都市が、投資先として注目を浴びている。大連のほか、遼河油田があり、石油化学産業が発展する盤錦(実行額9億1,000万ドル、約3倍)、瀋陽の外港と位置付けられている営口(8億6,000万ドル、70%増)、国内最大の対北朝鮮貿易都市の丹東(7億ドル、40.9%増)、錦州(5億ドル、36%増)、葫芦島(2億2,000万ドル、約3倍)と、各都市とも高い伸びを示している。
遼寧省政府は、11年の実行額を15%増の240億ドルにすることを目標にしている。このうち沿海6都市は150億ドル、中でも大連は10%増の110億ドルを目標としており、省全体の牽引役として期待されている。
瀋陽は10年には投資件数、金額とも減少したものの、単なる製造基地ではなく、市場と位置付けての企業進出が増加傾向にある。日本精工(ベアリング製造。総投資額1億ドルを予定)や安川電機(サーボモーター、サーボアンプ製造。総投資額50億円)など地場企業との取引拡大を目指す企業以外に、東横イン(10年8月オープン)、ヤマダ電機(10年12月オープン)など、一般消費者を対象としたサービス、小売り分野の進出も増加しつつある。
10年4月には瀋陽を中心に鞍山、撫順、本渓、営口、阜新、遼陽、鉄嶺の8都市が「瀋陽経済区」として国家総合改革実験区に指定された。13年には瀋陽市で全国スポーツ大会(日本の国体に相当。4年に1度開催)が開かれる予定。関連インフラの整備や不動産開発の動きが活発化しており、多くの日系企業が進出を表明している。
(渕田裕介)
(中国)
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