投資額は23.6%増で過去最高に−2008年の対中直接投資動向(1)−
北京発
2009年03月30日
2008年の対内直接投資は、実行ベースで前年比23.6%増の923億9,544万ドルとなり、過去最高を更新した。業種別では、非製造業のシェアが44%と、製造業の54%に迫っている。07年に倍増した不動産業は8.8%増と伸びが鈍化したが、卸・小売業(65.6%)、運輸・郵便業(42.1%)が高い伸びを示した。国・地域別では、香港が48.1%増、シンガポールが39.3%増、日本からの投資は上半期は10.1%増だったが通年では1.8%の微増にとどまった。
添付ファイル:
資料
( B)
<契約件数は27.4%減>
商務部が公表した08年の対内直接投資統計(銀行・証券・保険分野を含まず)によると、契約件数は前年比27.4%減の2万7,514件と大幅に減少したものの、実行ベースの投資額は23.6%増加して923億9,544万ドルだった(表1参照)。
業種別では、製造業が22.1%増の498億9,483万ドル(シェア54.0%)、非製造業が25.4%増の407億3,676万ドル(44.1%)と、ともに大きく増加した。07年は非製造業が、不動産業の急増などからシェアを高めたが、08年は不動産業が8.8%増と一服。他方、卸・小売業が65.6%増、運輸郵便業が42.1%と高い伸びを示した(表2参照)。
<沿海部は第三次産業向けが増加>
省・自治区・直轄市別に実行ベースでの対内直接投資(表3参照)をみると、東北地域は、吉林省が前年比32.5%増の30億800万ドル、遼寧省が32.1%増の120億1,925万ドル、黒竜江省が22.5%増の26億6,000万ドルと軒並み大幅に増加した。
遼寧省の投資(実行ベース)の91.6%は、瀋陽市と大連市。瀋陽市は07年、商業施設、オフィスビル、ホテル、住宅といった不動産関連投資の盛り上がりで前年比66.2%と急増したが、08年は鈍化した。とはいえ、韓国ロッテのロッテワールド建設や英国テスコも進出を決めるなど、サービス業を中心に19.0%増と増勢は維持している。大連市は、韓国、日本からの投資がそれぞれ132.9%増、168.3%増(実行ベース)と急拡大したこともあり、全体でも58.3%増となり、引き続き好調に推移した。日本の投資案件としては、三菱重工のフォークリフト製造会社、大陽日酸の投資会社と産業用ガス製造会社などが挙げられる。また、韓国は、船舶関連企業などの大連進出支援のため、韓国貿易投資振興公社(KOTRA)大連事務所内に、韓国企業投資支援センターが設置されている。
華北地域では、北京市の直接投資受入額(実行ベース)が通年で前年比20.1%増の60億8,172万ドルと堅調を維持した。下半期に入り、世界に景気後退の波が急速に広がったにもかかわらず投資は堅調で、通年では上半期の伸び(前年同期比13.2%増)を上回った。国・地域別にみると、金額の上位は香港、英領バージン諸島、ケイマン諸島となった。日本はこれに次ぐ4億7,174万ドルで、前年比55.3%増と上位3ヵ国・地域を上回った。日本企業の代表的案件としては、イオンが北京市郊外1号店となる「イオン北京国際商城ショッピングセンター」を11月にオープンした。また、水処理膜で世界的競争力を持つ東レが、中国藍星集団との合弁で、工場排水などを浄化する水処理膜を生産する。投資額は75億円に上る。パナソニック電工と三井物産は、両社が出資する北京泰豪智能科技とともに、省エネルギーシステムを中国市場に投入することを決めた。
天津市は前年比40.6%増の74億1,978万ドルとなり、07年(27.8%)を上回る伸びとなった。産業別では、第三次産業が70.4%増の45億1,689万ドルとなり、全体の60.9%を占めた。特に社会サービス業(4.3倍)、卸・小売・飲食業(70.6%増)、不動産業(33.8%増)などが好調だった。
山東省は前年比10.2%増の82億246万ドルだった。上半期は前年同期比42.8%増だったが、下半期に減速した。M&A案件や中国地場企業による香港経由の大陸投資などは堅調とみられるが、韓国、日本などからの新規に法人を設立するグリーンフィールド投資が減速している。また、金融危機の影響から生産と雇用の調整が進み、合弁解消や撤退など事業再編も本格化しているようだ。
華東地域では、上海市が前年比27.3%増の100億8,400万ドルと好調を維持した。金融危機の影響が急拡大した下半期も投資の伸びは高かった。成長性への期待は根強く、第三次産業を中心に投資が行われているようだ。実際、第三次産業への投資の伸びは3年連続で20%を上回り、第三次産業の投資シェアは67.8%となった。
また、上海の特徴として、投資案件の大型化がある。契約金額1,000万ドル以上の投資が225件に上り、契約金額総額の79.4%を占めた。また上海市は、多国籍企業地域本部の誘致にも力を入れている。08年7月7日に地域本部の設立条件緩和を盛り込んだ「上海市多国籍企業地域統括本部設立奨励規定」を制定、12月9日には、同「実施意見」を発表し、地域本部設立に対し最高1,000万元の奨励金の支給などの優遇措置を打ち出した。08年上海市に新規設立された多国籍企業地域本部は40社、投資性公司は13社、研究・開発(R&D)センターは30社となっている。
江蘇省は前年比14.7%増の251億2,000万ドルと、伸びは07年より減速したものの、6年連続で省・自治区・直轄市別投資金額第1位となった。08年は撤退が新規設立を上回り、外資企業数は1%減少したにもかかわらず、金額が増加したのは、投資が大型化しているためとみられる。08年は9,000万ドル以上の案件は168件で、07年より倍増している。
浙江省は輸出志向型経済であるため金融危機の影響は大きく、製造業の投資減速で契約件数が前年比36.3%減、実行額では2.8%減となった。夜逃げした同省の企業は351社に上ったという(「東方早報」2009年1月13日)。非製造業では、サービス業への投資実行額が同48%増と高い伸びを示した。
国務院は08年8月16日、「長江デルタ地域の改革開放と経済社会発展に関する指導意見」を発表し、長江デルタ地域を国際競争力のある世界トップクラスの都市群に育成すること、上海市がこの地域をリードしサービス業主体の産業構造に転換していくこと、などを方針として打ち出している。
華南地域では、広東省が前年比11.9%増の191億6,703万ドルとなった。これは03年の156億ドルを上回り、5年ぶりに過去最高を更新した。広東省では、独資形態の投資が増加を続けており、全体に占めるシェアも79.2%にまで高まっている。業種は依然として製造業が中心であるが、伸び率はサービス業(14.4%増)が製造業(8.9%増)を上回った。
福建省は39.7%増の56億7,200万ドルだった。伸びが高い業種としては、木材加工(100%増)、化学繊維(80.1%増)、電気機械(74.7%増)などが挙げられる。
<香港からの投資、税制改革の影響で48%増>
国・地域別にみると、第1位は07年と同じく香港で、前年比48.1%増の410億3,640万ドル、シェアは44.4%と前年から7.3ポイント高まった。第2位は英領バージン諸島で3.6%減の159億5,384万ドル、第3位はシンガポールで39.3%増の44億3,529万ドルとなり、07年から2つ順位を上げた。
06年、07年と前年割れだった日本は、1.8%増の36億5,235万ドルと、前年の水準を維持した。シンガポールの伸びが高かったこともあり、順位は第4位と変わらなかった。第5位はケイマン諸島で、22.3%増の31億4,497万ドルとなり、韓国、米国を上回った(表4参照)。
香港からの投資の急増には、08年1月に施行された企業所得税実施条例の影響が指摘できる。同条例により、進出企業が日本の親会社などへ配当する場合は08年1月以降、日中租税条約に基づき10%の源泉徴収納税が義務となった。一方、香港の親会社などへ配当する場合は、源泉徴収納税額は中国・香港二重課税防止協定に基づき5%(25%以上出資している場合。それ以外は10%)にとどまる。これにより、欧米や日本の企業を中心に、税制面での優遇を享受するため香港経由で投資する動きが活発化したとみられる。
<世界経済の冷え込みで下期は急速に鈍化>
08年は、上半期が前年同期比45.6%増と高い伸びになったものの、通年では前年比23.6%と、下半期の世界経済の急激な冷え込み反映するかたちとなった。
商務部のスポークスマン・姚堅氏は2月16日の記者会見で、08年の対中直接投資について、次のように語った。
国内の経済発展、特に産業構造の改善と地域構造の調整に伴い、直接投資での産業構造と地理的配置は改善してきている。外資導入は、これまで大部分が沿海地域に集中していたが、経済の構造調整が進むにつれ、中西部地域の基礎的インフラ、投資環境が一段と改善し、中西部地域の外資導入額の増加幅は全国平均を上回った。08年、中部・西部の外資導入額はそれぞれ66億2,000万元、74億4,000万元、全国平均に比べ12.8%、56.2%高かった。これまでの外資導入は大部分が、従来型の製造業に集中していたが、ここ数年は、農業やサービス業の外資導入テンポが加速している。農林・牧畜・漁業、サービス業の外資導入金額(実行ベース)はそれぞれ、11億9,000万ドルと381億2,000万ドルで、前年比は28.9%、24.2%と全国平均を上回った。
しかし、国内への直接投資の導入は、08年10月から前年同月比は減少が続いている。同氏は3月16日の会見では、世界の直接投資が08年に前年比21%減少し、09年も30%程度減少するとみられ、その影響は中国にも及ぶとの懸念を表明した。しかし同時に、中国は、a.安定的な成長、b.巨大な国内市場、c.労働コストの安さ、d.市場開放の進展、などの理由から、引き続き世界で最も魅力的な投資対象国であるとの見方を示した。
<日本の対中投資は国際収支ベースで減少気味>
08年の日本の対中直接投資は、中国の商務部統計では36億5,235万ドル、前年比1.8%とわずかながら増加したが、日本の財務省統計(速報値)によると、6,700億円で8.3%減少した。08年の日本の対外直接投資に占める中国のシェアは、5.1%と前年から3.3ポイント低下した。中国のシェアは06年時点では12.3%、07年に8.4%と1ケタ台に低下し、08年も大幅低下となった。
シェアの低下は、対中投資の減少が原因ではある。しかし、日本の対米国やケイマン諸島向け直接投資の急増による相対的低下という側面も否定できない。ちなみに対米投資は06年から08年にかけ約4倍に膨れ上がり、そのシェアも18.5%から33.9%に高まっている。ケイマン諸島向けは、同期間に7倍弱に急増し、シェアも5.7%から17.3%に高まっている(表5参照)。
日中両国の直接投資統計を比較すると、中国側統計では増加、日本側統計では減少となった。金額も、日本の統計が2倍弱となっている(日本側:約67億ドル、中国側:37億ドル)。要因として、日本と中国で直接投資統計の集計方法が違うことが考えられる。
日本の対外直接投資データは国際収支ベースで、a.株式資本(直接投資企業の株式、支店の出資持ち分およびその他資本拠出金)、b.再投資収益(直接投資企業の未配分収益のうち、直接投資家の出資比率に応じた取り分と直接投資家に未送金の支店収益)、c.その他資本(上記2項目に含まれない直接投資家と直接投資企業または支店との資本取引)、からなる。中国の対内直接投資データ(実行ベース)は新規投資に増資を加えたものであり、日本側統計に含まれるb.の再投資収益やc.のその他資本が含まれない。また、中国側統計には金融(銀行・証券・保険)が含まれていない。
<株式取得により経営権を掌握>
08年の主要投資案件をみると、合弁相手の持分を買い取り経営権を掌握するなど、経営体質を強化する動きが散見される。
大日本住友製薬は08年11月26日、協和発酵キリンの中国における生産子会社、協和発酵医薬(蘇州)の出資持分の全部を譲り受けることに合意した。大日本住友製薬は、中国を重要な海外マーケットと位置付け事業を拡大中だった。中国現地法人を通じ抗生物質製剤、高血圧症・狭心症・不整脈治療剤などを販売していたが、拡大が予想される中国市場で数年後に生産能力が不足するため工場の増強を検討していた。一方、協和発酵キリンは、中国事業再編のため、蘇州に生産工場を有する中国現地法人の売却を検討しており、両社の意向が一致したとみられる。
HOYAは08年10月30日、東志投資の全株式と生産拠点を、東洋鋼鈑と丸紅から獲得した。東志投資は、東洋鋼鈑と丸紅の共同出資により04年に設立され、合弁会社や子会社を通じハードディスク用ガラス基板事業を営んできたが、競合他社の増産などによる製品価格の急激な下落により、経営環境が厳しさを増していった。HOYAとしては、ハードディスク事業は今後も成長が見込まれる分野と判断し、競争力強化に取り組むことを決めた。
日本光電は08年12月11日、中国の現地生産子会社・上海光電医用電子儀器(上海光電)について、合弁相手先の上海医療器械(集団)、太陽交易(株)から資本の持分(41.4%)を買取り、完全子会社とした。製造しているのは、心電計、除細動器、ベッドサイドモニターなどである。医療水準の向上と経済発展に伴い、医療機器の大幅な需要拡大が見込まれているため、迅速かつ柔軟に対応し経営の自由度を高めるため、上海光電の独資化に踏み切った。
富士フイルムは08年11月27日、中国の医療ITシステム会社である北京天健源達科技(天健)を、株式取得により子会社化することを発表した。天健は、病院全体の診療・会計情報を統合・管理する病院情報システム(HIS)を中心に、医療ITシステム製品の開発からマーケティング、販売、保守サービスまでを一貫して提供している。中国全土の1,000以上の病院を顧客とし、現在、中国医療ITシステムのシェアは第1位となっている。一方、富士フイルムは1983年にデジタルX線画像診断システムを発売。99年に発売した医用画像情報システムは世界の医療機関に導入され、日本国内シェアはトップとなっている。天健の子会社化により、年率20%以上で急速に拡大している中国のHIS、電子カルテなど病院全体の医療ITシステム事業に本格参入するとともに、医用画像情報システムの拡販を進める。
<販売・研究開発機能の強化を志向>
投資案件にみられる特徴として、中国市場での売り上げ増加を目的とした販売機能や研究開発機能の強化が挙げられる。
日本精工は08年1月、研究開発法人「恩斯克(中国)研究開発」を江蘇省昆山市に設立。「販売技術の強化」「設計の現地化・スピードアップ」「中国独特の市場ニーズに応える研究・開発機能の強化」に取り組む。2010年には中国の事業規模を1,000億円まで拡大する。
横河電機は08年3月24日、中国にある関連会社3社を統合し、新たな現地法人「横河電機(中国)」を設立することを発表した。新会社は、事業統括会社として販売力、技術サポート、エンジニアリング、保守サービス機能を大幅に強化し、多様化する中国のIA市場のニーズに応えるトータルソリューションを提供する。
出光興産は08年6月3日、広州市に同社初となる機能性樹脂コンパウンド製造工場を建設することを発表した。自社コンパウンド工場により、需要増が見込まれる華南地域や東南アジアへの安定供給、さらには高品質な製品の安定的供給と高付加価値化を推進する。
王子製紙は、日本紙パルプ商事、国際紙パルプ商事と共同で、王子製紙南通プロジェクトの販売会社である王子制紙商貿(中国)を08年6月25日に設立した。同公司は、2010 年の江蘇王子製紙稼働前は、主に王子製紙からの輸入販売を通じ販路開拓と販売体制の確立を図り、稼働後は同社製品を独占的に販売する。国内数ヵ所に分公司を設立し販売網を拡大する予定である。
日立化成工業の子会社である日立化成工業(蘇州)は、07年5月からプリント配線板用感光性フィルムの量産を行ってきた。同公司は08年7月17日、中国市場のニーズに合った新製品開発の促進と競争力強化のため、敷地内に5億2,000万円を投じ、開発センターを設立することを決定した。現在中国では、感光性フィルムの主要顧客であるプリント配線板メーカーの多くの工場が電子機器の旺盛な需要に対応し生産を拡大しており、感光性フィルムの市場としては世界最大という。日立化成工業(蘇州)で製造する感光性フィルムの開発全般は、日立化成の山崎事業所で行ってきたが、中国市場のニーズに対応した製品開発や顧客の認定取得への取り組みは中国で行うことが最善と判断し、開発センター設立を決めた。09年4月に本格稼動を開始する予定。感光性フィルムの中国での開発拠点設立は日系企業としては初となる。
日本ペイントの上海での合弁会社である立邦塗料(中国)は08年8月28日、ドイツの自動車用塗料メーカーのBollig & Kemperと合弁で、自動車用塗料販売会社・凱柏立邦汽車塗料(上海)を設立することを発表した。日本ペイントは94年に中国での塗料事業を開始し、自動車用塗料事業を日系と中国地場の自動車メーカーを中心に推進してきた。今回、欧州自動車メーカーへの納入実績を持つBollig & Kemperと提携し、欧州系自動車メーカー向け事業にも注力する。
<日中の企業による戦略的ビジネスアライアンス>
日中の企業がそれぞれの優位性を生かしながら、合弁会社設立など戦略的なビジネスアライアンスを推進し、事業拡大を図るケースも特徴の1つである。
丸紅とアサヒビールは08年1月、江蘇省最大のビール会社大富豪●(クチヘンに卑)酒を傘下に持つ富豪酒業と共同で、江蘇省南通市にワインの製造・販売会社、江蘇聖果葡萄酒業を設立した。アサヒビールの持つワイン製造技術力とノウハウ、富豪酒業の持つ販売チャネルを生かし、拡販に取り組む。
ダイキン工業は09年3月31日、日本市場向けに販売する小型インバータエアコンの一部(50万台)の珠海格力電器(広東省珠海市)への生産委託を発表した。商品の企画・開発はダイキン工業が行い、ダイキンブランドで販売する。同社の省エネ技術と、格力電器の原材料・部品の調達力・生産力の融合により、高効率かつ低コストのインバータエアコン生産と拡販を狙っている。
双日は08年5月7日、黒龍江省ハルビン工業大学が出資するハルビン工業大学星河実業(黒龍江省ハルビン市)と共同で、「唐山曹妃甸双星複合管道」を河北省曹妃甸工業区に設立したと発表。排水管に使用される金属プラスチック複合パイプの製造・販売事業に進出する。双日はプラスチック原料を供給、星河実業は金属プラスチック複合パイプの製造技術に関する特許を保有しており、技術の提供や研究・開発を担当する。
東レは08年11月25日、中国藍星(集団)股と、北京市に水処理事業の合弁会社・藍星東麗膜科技(仮称、TBMC)を09年5月に設立することで合意した。同公司は水処理膜製品の製造・販売および輸出入を行う。TBMC社は約5億元で逆浸透膜の製膜・エレメント組み立て工場を新設する計画で、10年4月の稼動を予定している。中国では、高い経済成長と工業化の進展により水の使用量が急激に増加している。また都市部でも人口増加により水需要が急増している。こうした中、逆浸透膜の需要は年率20%以上で成長を続けているという。TBMCは、東レの水処理膜に関する最新技術を導入する一方、藍星の中国における営業ネットワークを活用し、中国での下廃水リサイクルや海水淡水化プラント案件向けに水処理膜を供給する。今後は北京、上海の販売要員を新会社に集め、中国国内向けの水処理膜製品の販売を一手に担う。
なお、日系企業による主要対中直接投資案件(08年)の詳細は添付資料を参照。
<中国は深耕すべき市場に>
中国側統計によれば、06、07年2年連続で前年割れとなった日本の対中投資は、08年にかろうじて前年比増となった。
総じて、製造業の対中投資は一巡しており、01年のWTO加盟を契機とした投資ブームのころの勢いはみられない。また、労働契約法や企業所得税法の施行、輸出増値税還付率の引き下げや加工貿易禁止品目の追加などをはじめとした輸出抑制政策、人民元レートの切り上げ、人件費や原材料費など生産コストの上昇など、事業環境は急速に変化している。企業には、海外事業での中国の位置付けをローコストオペレーションに依拠した生産拠点から、深耕すべき市場へと変えていく必要性が、以前にも増して高まっている。
今後の日本企業の対中投資について展望すると、中国は世界的不況の影響を免れなかったものの、最も早く停滞から脱するとみられている。日本の対中投資は、製造業の投資が一巡していることに加え、企業収益が大きく悪化している現状を踏まえれば、当面の投資意欲に大きな改善は期待しがたいだろう。しかし、金融危機と世界同時不況の苦境の中にあっても、その影響は、個別の業界、企業で濃淡があり、販売面の強化、アライアンスの模索、株式買い取りによる経営権掌握といった動きは今後も続くものと思われる。
(箱崎大)
(中国)
ビジネス短信 49d053bc49bb0





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