韓国銀行、FRBと最大300億ドルの通貨スワップ協定を締結−30日は大幅なウォン高・株高に−

(韓国)

ソウル発

2008年10月31日

韓国銀行(中央銀行)は10月30日、米連邦準備制度理事会(FRB)と通貨スワップ協定を締結したと発表した。それによって、韓国銀行はFRBから最大300億ドルのドル資金を調達できることになった。今回の協定締結は韓国の金融市場安定化に大きく寄与すると期待されている。

<金融市場の安定化に寄与>
韓国銀行は10月30日早朝(米国時間では29日)、FRBと通貨スワップ契約を締結したと発表した。韓国銀行以外にも、ブラジル中央銀行、メキシコ銀行、シンガポール通貨庁が同時に契約を締結した。この契約はFRBが日本銀行などの先進国中央銀行と締結したものと同様の性格のもので、韓国銀行はウォンとの交換でFRBから最大300億ドルのドル資金の供給を受けられることになった。契約期間は2009年4月30日まで。韓国銀行はこの枠組みでドルを調達した際には、競争入札で国内銀行に供給する。

韓国の外貨準備高は08年9月末現在で2,397億ドルと、比較的高い水準を維持している(図1参照)。しかし、「このうち90%以上を外国証券で運用しているため、通貨当局が市場介入する際には保有証券を売却せざるを得ず、評価損が発生したり市場に否定的な影響を与えるという問題があった」(「聯合ニュース」10月30日)など、通貨当局の市場介入能力に懐疑的な向きもあった。今回の通貨スワップ協定の締結により、ドルが確実かつ迅速に調達できることになり、最近の金融市場混乱の沈静化に貢献しそうだ。

専門家はドル流動性問題がかなり解消し、株式市場にも好材料になるとの見方で一致しており、歓迎一色だ。聯合ニュース(10月30日)によると、韓国銀行関係者は「今回の通貨スワップ協定の締結により国内のドル流動性不足問題がある程度解決できることになり、国内の危機局面(解消)に大きく寄与する」と語っている。また、民間シンクタンク研究者は「わが国の外貨準備高を考えると、米国との通貨スワップを利用することはないだろうが、心理的な側面では確実に好材料だ」と語っている。

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<発表を好感、ウォンと株が買われる>
30日の為替・株式市場は、今回の発表を好感して大きく動いた。ここしばらく、ウォンの対ドルレートの大幅な下落が続いていたが、30日(終値)は前日比177ウォン高の1ドル=1,250ウォンと、ウォンが大幅に上昇した。1日の上昇幅としては1997年12月26日(338ウォン)以降最大で、2週間前の為替水準に戻した(図2参照)。また、このところ下落基調にあった株価も、総合株価指数(KOSPI)が前日比115.8ポイント高(11.95%上昇)の1,084.72で取引を終え、大幅高となった。

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ただし、今回の通貨スワップ協定締結で、最近の金融市場の混乱がすべて解消するわけではないとの点でも専門家の見方は一致しており、引き続き米国経済の動向など、海外要因に大きく影響を受ける状況が続きそうだ。

(百本和弘)

(韓国)

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