日本産食材ピックアップイチゴ

日本はイチゴ消費量世界一

「イチゴ(苺)」は、比較的栽培しやすいことから世界各地で生産されています。

日本は、生食でのイチゴの消費量が世界一だと言われてきました。それだけに生産地の競争が激しく、毎年のように新しいイチゴの品種が開発され、今も進化を続けています。海外から日本を訪れた旅行者が、甘さやみずみずしさに驚くほど、日本のイチゴは味や品質の面で高いレベルにあります。おいしくてそのまま食べられる日本産イチゴを求める世界のニーズは今後さらに高まりそうです。

品種は約300種と豊富なバリエーション

日本産イチゴは、世界に類を見ないほどバリエーションが豊かです。農林水産省に登録されているイチゴの品種は294種(2018年3月現在、出願中を含む)で、そのうち登録維持されているのは161種。世界のイチゴの品種については詳しい統計資料がありませんが、一説には半分以上の種類を日本のイチゴが占めると言われています。

各生産地で品種改良が重ねられ、イチゴは10年から20年単位で世代交代が進んでいます。1980年代に登録された「とよのか」「女峰」が2000年頃までは主力の品種でしたが、新しい品種が次々と登場。最近では、栃木県の「とちおとめ」、福岡県の「あまおう」、静岡県の「紅ほっぺ」、佐賀県の「さがほのか」、長崎県の「さちのか」などが人気を集めています。

新しい品種は日本国内の競争を勝ち抜くため、促成栽培に適していたり、大粒に実ったり、甘みが強かったりするなどの特徴を持っています。その一方で、1年を通して開花する四季成り性のイチゴや、色が白いイチゴなど、個性的なイチゴも次々と誕生しています。

世界で評価を高める日本産イチゴ

新種の開発や栽培などの技術において、日本のイチゴは世界でもトップレベルにあり、生で食べるために品質管理も厳しく行われています。その中で生産されたイチゴは、糖度、大きさ、ジューシーさなどにおいて、主要輸出先の香港や台湾でも高い評価を得ています。

柔らかい食感が日本産イチゴのおいしさの要素の一つですが、同時にデリケートで傷みやすく、海外などへ輸送するうえでの課題でした。そのため、クッション性の高い包装容器を導入したり、果物の呼吸を抑えるCAコンテナや高電圧方式のコンテナを使用するなど、鮮度を保持したまま輸送する取り組みが始まっています。

財務省「貿易統計」によると、イチゴの輸出額は2015年に8億4893万円、2016年に11億4859万円、2017年に17億9853万円と急激に伸びています。30億円前後を推移する輸入額に迫る勢いで、日本産イチゴの人気が高まりつつあることを示しています。

赤い色素は抗酸化作用、スイーツの主役的存在

イチゴ100gのエネルギーは34kcalと低カロリーで、ビタミンCは62mg(日本食品標準成分表2015年版(七訂)より)。5、6粒ほど食べれば、成人が1日に必要とされるビタミンCを摂取できる計算となります。妊娠中や授乳中の女性に多く必要とされる葉酸が豊富で、赤の色素成分であるアントシアニンも抗酸化物質として注目を集めています。

昔の日本の家庭では練乳などをかけていましたが、現在のイチゴは生のままでも十分な甘さを味わえます。日本ではショートケーキなどにもイチゴを生のまま載せて、主役的存在感を発揮します。ほかにも洋菓子やジャムなどの材料に使われ、イチゴを果実のまま餅で包んだ「苺大福」などの和菓子も増えています。

イチゴ栽培の歴史

イチゴの歴史は古く、ヨーロッパでは石器時代の遺跡からイチゴを食べていた痕跡が見つかっており、ローマ帝国の時代には栽培が始まっていたとされています。現在世界中で食べられているイチゴの祖先は、18世紀のオランダで、北米原産のバージニアイチゴと南米原産のチリイチゴを交配してつくられたものです。

このイチゴは江戸時代末期に日本へと伝えられましたが、本格的な栽培が始まったのは明治時代に入ってからで、農学者の福羽逸人(1856-1921)が国産イチゴの「福羽」を誕生させました。以降、日本のイチゴ生産は順調に拡大し、第二次世界大戦を経て、ハウス栽培や促成栽培が進んで収穫量も増大しました。

イチゴは「果物」ではない?

イチゴは、バラ科オランダイチゴ属の多年草で、世界各地で温帯を中心に分布しています。私たちが食べる赤い実の部分は、植物学上は「果実」ではなく、花托(かたく)と呼ばれる花の土台部分が発達したものです。表面で種のように見える粒が、痩果(そうか)と呼ばれる果実の一種です。

一般的に「果物」として扱われているイチゴですが、日本での農業上の分類は「野菜」となります。狭義の果物が樹木になるものを指すため、イチゴはスイカやメロンと同様に、果実的野菜として定義されています。

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