中国企業傘下のボルボ・カーズ、米商務省からコネクテッドカー規制の特定認可を取得
(米国、中国)
ニューヨーク発
2026年05月28日
中国の浙江吉利控股集団(ジーリー・ホールディング・グループ)傘下の自動車メーカー、ボルボ・カーズ(本社:スウェーデン、イエーテボリ)は5月26日、米商務省から、コネクテッドカーの輸入・販売の継続に必要な「特定認可(specific authorization)」を取得したと発表
した。これは、米国の「情報通信技術・サービス(ICTS)サプライチェーン保護規則」に基づくコネクテッドカー規制に対応するもの。
今回の認可について同社は、米国法人であるボルボ・カーUSAを通じ、「弊社のガバナンス、技術、およびデータセキュリティーに関する事項について、商務省およびそのほかの米政府関係者との建設的な協議を経た結果だ」と説明した。また認可取得により、「米国での成長計画を継続できる」としている。
米国では2025年1月、バイデン前政権下で、「中国またはロシアの所有、管理、あるいはその管轄権または指示下に置かれているコネクテッドカー製造業者よる米国でのコネクテッドカー販売禁止」などを含む最終規則
が公表されている(2025年1月15日記事参照)。中国企業を筆頭株主とするボルボは、同規則の適用対象に該当する可能性があるとして、事業継続への影響が注目されていた(注)。
モーターインテリジェンスのデータによれば、ボルボの2025年の米国販売台数は12万1,607台で、世界販売台数の17.2%を占める。同社の市場別シェアでは中国に次ぐ2位となっている(ブルームバーグ5月26日)。国内生産拠点であるサウスカロライナ州チャールストン工場では2,000人超を雇用し、これまで13億ドル超を投資してきた。2025年9月には、2030年までに追加2車種を同工場で生産する計画も公表するなど、米国事業の拡大をアピールしてきた。
なお、特定認可を申請する企業に対しては、対象となる製品の設計から供給に至る過程において、中国やロシア政府からのアクセスや影響を制限できる体制構築や、適切なセキュリティー基準の導入などが求められている。一方、個別の認可内容は非公開とされており、今回の詳細も明らかになっていない。
中国の米国市場参入を巡っては、上院では4月29日
、下院では5月11日
に、中国、ロシア、北朝鮮、イランに関連するコネクテッドカーおよびその関連ソフトウエアとハードウエアの輸入、製造、販売などを広く禁止する法案がそれぞれ提出されており、法制化による一層の措置強化も議論されている。今回の認可について、ドイツ銀行のアナリスト、ニキータ・パパチオ氏は、「ボルボに対し一切の条件が課されなかったことは驚きだった」と述べるなど、規制強化の流れの中で想定以上に寛容な措置との見方を示している(「ウォールストリート・ジャーナル」紙5月27日)。
また、同じくジーリー傘下の電気自動車(EV)メーカーのポールスターも、規制要件への対応に向け、引き続き米当局と協議していると報じられた(ロイター5月26日)。今後、特定認可の適用対象が他企業にも広がるのか注目される。
(注)ボルボの2026年第1四半期中間報告(Volvo Interim Report First Quarter 2026)によると、筆頭株主であるジーリーの総持株比率は78.87%。
(大原典子)
(米国、中国)
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