知的財産ニュース 人工知能を活用した発明については、人が発明に貢献した場合にのみ発明者として認められる
2026年6月9日
出所: 韓国知識財産処
- 韓国知識財産処、「AI時代の適切な特許出願ガイド」を配布
- AIを活用した無分別な特許出願を抑制し、適切な特許出願を奨励
- 特許出願時に遵守すべき信義誠実の原則(虚偽事実の確認、試験資料の検証など)を提示
人工知能(AI)を活用した発明で特許を取得するためには、人間が発明の創作過程において実質的に貢献しなければならない。また、AIが生成した試験結果を実際の試験結果であるかのように偽って提出した場合、法的責任を問われる可能性があるため、注意が必要である。
韓国知識財産処(キム・ヨンソン処長)は、AI時代に合わせ、生成AIを活用した無分別な特許出願を防止し、適正な特許出願を奨励するため、こうした内容を盛り込んだ「AI時代の適正な特許出願ガイド」を配布すると、6月9日(火)に発表した。
今回のガイドブックでは、人間がAIを活用した発明の特許出願過程において遵守すべき注意義務や、特許を取得するために必要な要件について、次のように案内している。
<(1) AIの単なる活用では不可、人間が発明に貢献した場合にのみ特許登録が可能>
特許法上、AIは特許を受けることができず、発明を行った者またはその承継人のみが特許を受けることができる。発明を行った者(正当な発明者)として認められるためには、発明の創作過程において実質的に寄与しなければならない。単にAIに一般的な指示を入力し、その結果をそのまま出願した場合には特許を受けることはできず、仮に特許を取得したとしても無効となる。
審査官は、審査の過程で正当な発明者であるか疑わしいと判断した場合、拒絶理由を通知するとともに、「研究ノート」や「発明者確認書」など、人間が発明に貢献したことを立証する書類提出を求めることができる。
<(2) AIが生成した試験結果を、実際の試験結果であるかのように偽って提出した場合、法的責任が生じる>
AIの「ハルシネーション(Hallucination幻覚)」現象により、実際には存在しない技術内容や虚偽の効果が生成される可能性があるため、AIが作成した内容をそのまま信頼してはならない。出願人および代理人は、明細書や意見書などの特許書類作成過程において、内容の真実性や発明の実現可能性などを十分に検討しなければならない。
AIを活用した医薬品や先端材料などを特許出願する際には、一層の注意が必要である。AIが提示した候補物質や効果を実験的に確認しないまま特許出願すると、実現可能性などの問題により特許が拒絶され、たとえ特許を取得したとしても無効になる。AIが生成した実験結果を検証せずに、自ら実験した結果であるかのように記載し、虚偽の特許を取得した場合には、さらに虚偽行為の罪*などの法的責任も問われる可能性がある。
* 特許法第229条(虚偽行為の罪):虚偽またはその他の不正な行為により、特許、特許権の存続期間の延長登録、特許取消請求に対する決定または審決を受けた者は、3年以下の懲役または3千万ウォン以下の罰金に処する。
<(3) AIによる発明の種類別・注意すべき特許要件の案内>
AIによる発明は大きく3つに分類され、種類ごとに特に注意すべき特許要件がある。AIそのものに関する発明については、AIがハードウェア(メモリなど)と結合して情報処理を行う必要があるという発明の成立要件、AIが発明の構成要素として含まれる場合は、独創的な技術的特徴を通じて先行技術に比べてより優れた効果を示さなければならないという進歩性の要件、AIをツールとして活用する発明については、AIが提示した効果などをそのまま記載してはならず、実施可能性などをしっかりと検討した上で、明細書の記載要件*に従って作成しなければならない。
* 発明を実際に実施し、繰り返し・再現できるよう、明確かつ詳細に記載しなければならない
例えば、「AIを利用して果物を選別する方法」のように、AIが発明の構成要素に含まれる場合、具体的なAIの技術的な特徴がなく、単に従来人間が行っていた業務をAIに置き換えたに過ぎないものであれば、特許を取得することはできない。
<(4) AIを使用する際、発明の内容が外部に流出する可能性があるため、セキュリティに留意>
AIを活用する過程で、入力したデータなどが外部のAIの学習過程に利用され、第三者に知られてしまう可能性があるため、営業秘密や中核的な技術情報を入力する際には、セキュリティに特に注意を払う必要がある。AIを使用する前に、入力データが外部のAIモデルの学習に利用されないよう、ユーザー環境を設定することも一つの方法である。
韓国知識財産処のチョン・ヨンウ次長は、「今回のガイドラインは、AIの活用が広がる中、出願人が遵守すべき注意義務を先制的に提示するために作成された」とし、「AIを活用した発明に関する審査基準は、国際的な制度の調和が重要であるため、 まもなく開催されるIP5長官会合(2026年6月10日~12日、日本)において主導的に議論を行い、AI時代にふさわしい特許制度を整備していく」と述べた。
一方、「AI時代の適切な特許出願ガイド」は、韓国知識財産処のホームページで誰でも閲覧できる。
*韓国知識財産処のホームページ
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:横山、徐(ソ)、權(クォン)(いずれも日本語可)
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195





閉じる