ガーナの貿易投資年報
要旨・ポイント
- 2025年のGDP成長率は6.0%と好調を維持。
- 通貨価値の上昇によりインフレ率は低下。
- 金・カカオの価格高騰で貿易黒字が拡大。
- 対内直接投資も回復。
- 日本の輸入が2.3倍、日本からの輸出も35.3%増加。
公開日:2026年10月8日
マクロ経済
GDP成長率は6.0%と好調、通貨増価でインフレ率も低下
ガーナの2025年の実質GDP成長率は6.0%だった。前年の5.8%に続き高成長を維持した。産業別の成長率を見ると、農業部門はカカオが14.3%(前年はマイナス21.5%)と回復したことなどから、6.8%(2.7%)を記録した。工業部門は、金が19.6%と好調であったが、石油・ガスがマイナス23.2%となり、前年(7.2%)より低下して2.3%にとどまった。サービス部門は情報・通信が20.2%、教育が11.6%と好調で、8.1%(6.2%)だった。GDPの構成比率は農業部門が22.8%、工業部門が31.3%、サービス部門が45.9%となっている。名目GDPは前年比21.2%増の1兆4,341億ガーナ・セディ(以下セディ)だった。
2025年の為替動向を見ると、通貨セディは、前年とは対照的に対米ドルで上昇に転じた。ガーナ中央銀行(以下、中銀)が発表する月平均の対米ドルのインターバンクレートは2025年1月の1ドル14.972セディから12月には11.2784セディとなり、32.7%増価した。前年同期は19.3%の減価であったところ、セディ高に振れていることはガーナ経済の好調さを反映したものと評価される。一方で、外国企業にとっては為替の振れ幅の大きさは財務管理上のリスクともなっている。
燃料や原料を多く輸入しているガーナにとって、為替は物価への影響が大きい。消費者物価上昇率は2025年1月に前年同月比23.5%であったが、セディ高に反応する形で低下を続け、12月には前年同月比5.4%となり、中銀のインフレ目標レンジである6%~10%を下回った。2024年が年間を通じて前年同月比で20%以上の物価上昇率であったことを勘案すると、一時期より落ち着いたものの、物価水準自体は高い状況が続いている。
貿易
金やカカオ相場に支えられ貿易黒字は前年比3倍超
ガーナ統計局(GSS)によると、2025年の輸出は前年比36.1%増の4,015億セディ、輸入は1.2%増の2,532億セディとなった。貿易黒字は1,483億セディを記録し、前年から3倍超(3.3倍)の大幅増となった。輸出増加の主な要因は、国際価格の高騰を背景とする金やカカオの輸出額の大幅な伸びである。なお、GSSが公開している一次産品の国際価格の変動の影響などを調整した実質ベースの貿易額では34億セディの貿易赤字となっている。
輸出を品目別に見ると、金が前年比55.4%と大幅に増加して2,533億セディとなり、前年に続き最大の輸出品目だった。カカオ豆および製品が約2倍の562億セディで2位となった一方、前年2位の鉱物性燃料および石油(含製品)は3位となった。これら上位3品目で輸出の85.9%を占めており、依然として一次産品への依存度が高い構造となっている。
輸出を国別に見ると、アラブ首長国連邦(UAE)が最大の輸出相手で、インド、スイス、南アフリカ共和国(南ア)、中国が続いた。インドは前年の5位から、金の輸出増加を受けて2位に浮上した。上位4カ国(UAE、インド、スイス、南ア)はいずれも金の主要輸出先である一方、中国は鉱物性燃料および石油(含製品)の最大の輸出先である。カカオ豆および製品の主要輸出先はオランダ(構成比27.9%)、米国(20.2%)、ベルギー(7.5%)、フランス(5.7%)と続き、日本(4.6%)は5番目であった。
輸入を品目別に見ると、鉱物性燃料および石油(含製品)が650億セディ(構成比25.7%)で前年に続き最大で、以下、自動車・自動車部品、機械・電気機器と続く。
輸入相手国としては中国が最大で、米国、インド、UAE、ベルギーがこれに続いた。中国からは機械・電気機器、米国からは自動車・自動車部品、インド、UAE、ベルギーからは鉱物性燃料および石油(含製品)が主に輸入されている。
アフリカ域内貿易は、域内輸出が703億セディ、域内輸入は356億セディで、347億セディの黒字となった。輸出先では南ア(域内構成比58.7%)が最大で、ブルキナファソ(16.8%)、トーゴ(5.5%)、コートジボワール(5.2%)が続いた。輸入ではナイジェリア(31.9%)、南ア(11.6%)、モロッコ(8.3%)、トーゴ(7.9%)などが主要相手国となった。
| 品目 | 2024年 | 2025年 | ||
|---|---|---|---|---|
| 金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
| 金 | 1,630 | 2,533 | 63.1 | 55.4 |
| カカオ豆および製品 | 286 | 562 | 14.0 | 96.5 |
| 鉱物性燃料および石油(含製品) | 542 | 353 | 8.8 | △ 34.9 |
| 合計(その他含む) | 2,949 | 4,015 | 100.0 | 36.1 |
〔出所〕ガーナ統計局(GSS)
| 品目 | 2024年 | 2025年 | ||
|---|---|---|---|---|
| 金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
| 鉱物性燃料および石油(含製品) | 643 | 650 | 25.7 | 1.1 |
| 自動車・自動車部品 | 247 | 391 | 15.4 | 58.3 |
| 機械・電気機器 | 386 | 351 | 13.9 | △ 9.1 |
| 化学製品 | 239 | 215 | 8.5 | △ 10.0 |
| 鉄鋼 | 153 | 156 | 6.2 | 2.0 |
| 合計(その他含む) | 2,502 | 2,532 | 100.0 | 1.2 |
〔出所〕ガーナ統計局(GSS)
| 国・地域 | 2024年 | 2025年 | ||
|---|---|---|---|---|
| 金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
| アラブ首長国連邦(UAE) | 601 | 1,040 | 25.9 | 73.0 |
| インド | 197 | 643 | 16.0 | 226.4 |
| スイス | 595 | 568 | 14.1 | △ 4.5 |
| 南アフリカ共和国 | 360 | 413 | 10.3 | 14.7 |
| 中国 | 215 | 196 | 4.9 | △ 8.8 |
| 日本 | 15 | 28 | 0.7 | 86.1 |
| 合計(その他含む) | 2,949 | 4,015 | 100.0 | 36.1 |
〔出所〕ガーナ統計局(GSS)
| 国・地域 | 2024年 | 2025年 | ||
|---|---|---|---|---|
| 金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
| 中国 | 568 | 576 | 22.7 | 1.4 |
| 米国 | 121 | 178 | 7.0 | 47.1 |
| インド | 169 | 173 | 6.8 | 2.4 |
| アラブ首長国連邦(UAE) | 219 | 153 | 6.0 | △ 30.1 |
| ベルギー | 87 | 127 | 5.0 | 46.0 |
| 日本 | 21 | 31 | 1.2 | 45.3 |
| 合計(その他含む) | 2,502 | 2,532 | 100.0 | 1.2 |
〔出所〕ガーナ統計局(GSS)
対内直接投資
対内直接投資も回復
ガーナ投資促進センター(GIPC)によると、2025年1月から9月までの対内直接投資登録案件数は129件、総投資額は12億7,613万ドルであった。このうち、外国からの直接投資額(FDI)は12億4,059万ドル、外資との合弁を通じたガーナ企業による国内投資額は3,554万ドルとなっている。対内直接投資の案件数は前年同期の108件から増加し、総投資額(外資との合弁によるガーナ企業による国内投資額含む)も3億2,588万ドルから3.9倍に拡大した。2022年以降低迷していた対内直接投資額は回復基調にある。
投資案件129件のうち、外国企業単独のプロジェクト数は87件(総額6億1,481万ドル)、ガーナ企業と外国企業による合弁事業のプロジェクト数は42件(6億6,132万ドル、ガーナ企業による国内投資額含む)であった。セクター別では、製造業(66件)、サービス業(31件)、一般貿易業(18件)、建設業(5件)、輸出貿易業(4件)、農業(3件)、観光業(2件)の順となった。金額ベースでは、一般貿易業(6億2,649万ドル)、サービス業(2億9,430万ドル)、製造業(2億9,105万ドル)が上位を占めた。
国別に見ると、外国からの直接投資件数は1位が中国(47件)、2位がインド(18件)、3位がナイジェリア(9件)の順となる。金額では、1位が中国(4億3,140万ドル)、2位がナイジェリア(1億361万ドル)、3位が米国(5,092万ドル)であった。中国は案件数、金額の両方で最大の投資国となり、2025年第3四半期までの対ガーナ投資を牽引した。なお、合計129件のプロジェクトにより、将来的に9,498人の雇用創出が見込まれている。
対日関係
日本の輸入はカカオが大幅増、輸出は輸送用機器が好調
日本の財務省貿易統計(通関ベース)によると、日本のガーナからの輸入は前年比 2.3倍の4億9,682万ドルであった。輸入額全体の9割以上をカカオ豆およびその加工品が占め、前年比2.3倍の4億5,856万ドルとなった。原料品も2倍超と大幅に増加した。
日本の対ガーナ輸出は前年比35.3%増の1億6,306万ドルだった。最大品目の輸送用機器(構成比59.0%)は90.9%増の9,622万ドルと大幅に増加した。このうち乗用車は 2.3倍となり、輸出全体の増加を牽引した。一方、一般機械や化学製品など、一部品目では減少がみられた。
日本の対ガーナ投資では、豊田通商のフランス子会社CFAO SAS傘下の豊田通商マニュファクチャリングガーナが、2025年12月31日付で、トヨタ・ガーナからトヨタおよび日野の販売代理店事業を譲り受けたと発表している。
| 品目 | 2024年 | 2025年 | ||
|---|---|---|---|---|
| 金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
| 輸送用機器 | 50,400 | 96,220 | 59.0 | 90.9 |
| 自動車 | 41,145 | 83,148 | 51.0 | 102.1 |
| 乗用車 | 30,814 | 72,351 | 44.4 | 134.8 |
| バス・トラック | 10,330 | 10,767 | 6.6 | 4.2 |
| 自動車の部分品 | 1,134 | 1,883 | 1.2 | 66.0 |
| 二輪自動車 | 1,458 | 1,849 | 1.1 | 26.8 |
| 原料別製品 | 24,722 | 30,729 | 18.8 | 24.3 |
| 鉄鋼 | — | 16 | 0.0 | 全増 |
| 金属製品 | 349 | 355 | 0.2 | 1.7 |
| ゴム製品 | 20,531 | 29,140 | 17.9 | 41.9 |
| 一般機械 | 16,862 | 12,300 | 7.5 | △ 27.1 |
| 原動機 | 6,800 | 6,060 | 3.7 | △ 10.9 |
| 電算機類(含周辺機器) | 114 | 356 | 0.2 | 212.3 |
| ポンプ・遠心分離機 | 2,194 | 1,046 | 0.6 | △ 52.3 |
| 建設用・鉱山用機械 | 6,412 | 2,977 | 1.8 | △ 53.6 |
| 荷役機械 | 147 | 215 | 0.1 | 46.3 |
| 原料品 | 8,913 | 7,228 | 4.4 | △ 18.9 |
| 化学製品 | 12,560 | 6,398 | 3.9 | △ 49.1 |
| 有機化合物 | 1,445 | 404 | 0.2 | △ 72.0 |
| プラスチック | 3,212 | 2,228 | 1.4 | △ 30.6 |
| 電気機器 | 2,681 | 1,523 | 0.9 | △ 43.2 |
| 重電機器 | 1,925 | 951 | 0.6 | △ 50.6 |
| 通信機 | 3 | 91 | 0.1 | 2,933.3 |
| 電気計測機器 | 63 | 77 | 0.0 | 22.2 |
| 電気回路等の機器 | 303 | 16 | 0.0 | △ 94.7 |
| 食料品 | 1,413 | 4,413 | 2.7 | 212.3 |
| 合計(その他含む) | 120,536 | 163,059 | 100.0 | 35.3 |
〔出所〕 財務省「貿易統計」(通関ベース)を基に作成
| 品目 | 2024年 | 2025年 | ||
|---|---|---|---|---|
| 金額 | 金額 | 構成比 | 伸び率 | |
| 食料品 | 196,212 | 460,180 | 92.6 | 134.5 |
| カカオ豆およびその加工品 | 195,229 | 458,562 | 92.3 | 134.9 |
| 魚介類 | 419 | 651 | 0.1 | 55.4 |
| 野菜 | 8 | 24 | 0.0 | 200.0 |
| 果実 | 54 | 148 | 0.0 | 174.1 |
| 原料別製品 | 6,709 | 7,908 | 1.6 | 17.9 |
| 非鉄金属 | 6,661 | 7,875 | 1.6 | 18.2 |
| 織物用糸・繊維製品 | 45 | 33 | 0.0 | △ 26.7 |
| 原料品 | 8,804 | 20,541 | 4.1 | 133.3 |
| 木材 | 556 | 858 | 0.2 | 54.3 |
| 電気機器 | 2,422 | 7,444 | 1.5 | 207.3 |
| 重電機器 | — | 5 | 0.0 | 全増 |
| その他 | 1,265 | 743 | 0.1 | △ 41.3 |
| 衣類・同付属品 | 25 | 31 | 0.0 | 24.0 |
| バッグ類 | 37 | 42 | 0.0 | 13.5 |
| 合計(その他含む) | 215,423 | 496,817 | 100.0 | 130.6 |
〔出所〕 財務省「貿易統計」(通関ベース)を基に作成
基礎的経済指標
| 項目 | 単位 | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|---|---|
| 実質GDP成長率 | (%) | 3.1 | 5.8 | 6.0 |
| 1人当たりGDP | (米ドル) | 2,384 | 2,419 | 3,271 |
| 消費者物価上昇率 | (%、第4四半期) | 23.2 | 23.8 | 5.4 |
| 失業率 | (%) | 14.0 | 13.1 | 13.0 |
| 貿易収支 | (100万米ドル) | 1,707 | 3,773 | 13,794 |
| 経常収支 | (100万米ドル) | △734 | 1,599 | 9,391 |
| 外貨準備高(グロス) | (100万米ドル) | 3,044.4 | 4,472.5 | n.a. |
| 対外債務残高(グロス) | (100万米ドル) | 30,434.1 | 28,454.9 | 29,397.4 |
| 為替レート | 1米ドルにつき、ガーナ・セディ、期中平均 | 11.02 | 14.18 | 12.56 |
〔注〕
実質GDP成長率:2025年は暫定値
貿易収支:国際収支ベース(財のみ)
失業率:2025年は第3四半期の実績、その他の年は第4四半期の実績。
〔出所〕
実質GDP成長率、失業率:ガーナ統計局(GSS)
消費者物価上昇率、貿易収支、経常収支、対外債務残高(グロス):ガーナ中央銀行
1人当たりGDP、外貨準備高(グロス)、為替レート:IMF





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