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2026年版 ジェトロ世界貿易投資報告

―高リスクが常態化する時代に、踏みとどまる自由貿易体制―

2026年07月28日

本年の報告について

  • 「ジェトロ世界貿易投資報告」は、世界と日本の貿易・直接投資や注目産業、国際ビジネスに関わる通商ルール・政策の最新動向を豊富なデータを用いて分析した年次レポートです。
  • 地政学的緊張をはじめとする高リスクが常態化する国際環境において、企業が貿易・産業の変化をとらえ、多様な連携の枠組みを活用して、ビジネス機会を切り拓くための情報を盛り込んでいます。

2026年版世界貿易投資報告のポイント

1.高リスク常態化の下で拡大と構造転換が進む世界貿易  
世界貿易は2025年に続き、2026年も好調なデジタル関連財など製造業の実需に支えられ、伸びが持続。2025年のAI関連財貿易額は前年比22.8%増で過去最高(ジェトロ推計)。
米中間の貿易関係は著しく弱まり、両国では貿易相手国・地域の多角化が進行する。一方、AI関連財貿易では、アジア域内でバリューチェーンが深化するなど、生産拠点の分散や、新興・途上国の台頭といった質的な変化が加速するかたちで、世界貿易の構造転換が進んでいる。
日本の貿易も2025年に続き、2026年も輸出入ともに上向きも、不安定な中東情勢による先行き不透明感続く。その中で、日本の輸出商品は、製造業を川上から支える素材や精密な製造装置などで世界市場をリード。半導体等電子部品類も好調。
2.地政学・デジタル時代に変化する世界の直接投資
高リスク常態化は、世界の直接投資への慎重姿勢にもつながっている。企業の投資判断は、効率性優先から強靱性確保へと重心を移す。2025年に世界のグリーンフィールド投資の24.4%を占めた通信分野(データセンター等)をはじめとする戦略産業の案件を巡る競争が強まる見込み。米中間では貿易と同様に投資も減退傾向。継続する地政学的な緊張やコスト増、通商政策の不確実性が重しとなり、2026年の直接投資の見通しは下振れリスクを伴い、不確実性が高い。
日本の対外直接投資は増加傾向を維持。インド向け投資は、自動車分野などが牽引して2025年、比較可能な2014年以降で過去最高を記録。一方、中国向け投資は4年連続で縮小し、過去最低水準が続く。両国向けの傾向は2026年も継続。
3.経済の武器化に対峙する、自由貿易の維持に向けた連携
貿易と投資を阻害する政策介入は過去最高水準に達し、貿易政策の不確実性も常態化。通商秩序の擁護に向け、日本を含む同志国やグローバルサウス諸国による貿易自由化推進の動きも見られる。他方で、グローバル・バリューチェーンを考慮した場合、米中を含んだ貿易や国際枠組みが引き続き決定的に重要であり、両国を含む各種ビジネスリスクを織り込んだ対応が求められる。
国際通商秩序が揺らぐ中でも、国際貿易の大半は通常運転で実施され、自由貿易体制が踏みとどまっている土台には通商ルールが貿易インフラとして機能している。世界の発効済みFTAは424件となった(ジェトロ集計)。CPTPPや、EUなどの大型FTAネットワークがさらに拡大し、複数の枠組みが重なり合う構造へ向かう。近年はデジタル分野などセクター別に特化したルールも発展。

添付資料:2026年版「ジェトロ世界貿易投資報告」

ジェトロ国際経済課 (担当:安田、吾郷)
Tel:03-3582-5177