お知らせ・記者発表
日本発医療スタートアップ5社、米国で臨床エビデンス創出へ ―ジェトロ、FDA承認・保険償還を見据え、研究設計からデータ検証まで一貫支援―
2026年08月07日

ジェトロは、経済産業省の協力のもと実施する「J-StarX Medical Data Utilization Program」に参加するスタートアップ5社を採択しました。本プログラムは、米国・サンフランシスコを拠点とする医療機器・デジタルヘルス分野のインキュベーター、TheraNova LLCと連携し、 2026年7月下旬から2027年3月上旬まで実施します。
本プログラムは、米国市場への展開を目指すメドテック、ヘルステック、デジタルヘルス分野のスタートアップを対象に、FDA承認や保険償還を見据えた臨床エビデンスの構築を支援するものです。各社に必要なエビデンスから逆算し、研究計画の策定、米国の医療機関・専門家と連携したPoC(Proof of Concept:概念実証)や臨床データの取得・検証、規制・保険償還戦略、資金調達に向けた準備までを一貫して支援します。
- 今回の発表のポイント
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- 日本発の医療スタートアップ5社が、米国での臨床エビデンス創出・検証に挑戦
- 各社の製品・FDA戦略等に応じ、必要なデータ、研究手法、医療機関を個別に設計
- 既存データの活用に加え、後ろ向き研究や前向きデータの取得・検証まで一貫して支援
プログラムの背景・目的
医療機器やデジタルヘルス製品を米国で事業化するためには、FDA承認に向けた規制対応に加え、保険償還や医療機関での導入を見据え、製品の安全性・有効性、臨床的有用性、費用対効果等を示すエビデンスの構築が重要です。日本国内の臨床データだけでは、米国の患者集団や医療環境における有用性を十分に示せない場合もあるため、開発の早期段階から、現地の医療機関や専門家と連携して必要なデータを取得・検証することが求められます。
ジェトロは、本プログラムを通じて、日本発の医療スタートアップによる米国市場参入に必要な臨床エビデンスの構築と、医療機関、KOL、規制・保険償還の専門家、投資家等とのネットワーク形成を後押しします。
これまでの取り組みと今回のプログラムの特徴
ジェトロは2024年度から2年間、Mayo Clinic Platform_Accelerateと連携し、「J-StarX HealthTech Gateway “AI Medical in the US”」および「J-StarX AI Medicalコース」のPhase2を実施してきました。同プログラムでは、Mayo Clinicが保有する数百万人分の非識別化医療データを活用する環境を提供し、AIモデルの検証・改善、専門家によるメンタリング、臨床チームからのフィードバック等を通じて、米国市場参入に向けたプロダクトの強化を支援しました。
今回のプログラムでは、こうした大規模な既存医療データを活用した支援に加え、各社が必要とするエビデンスに応じて、データソース、研究方法、医療機関・研究サイトを個別に組み立てます。既存データベースだけでなく、後ろ向き研究や前向き研究にも対応し、対象もAI搭載プロダクトに限定せず、医療機器を含む幅広いメドテック、ヘルステック、デジタルヘルス分野へ拡大します。
TheraNova LLC CEOのDaniel Burnett氏は、本プログラムについて次のようにコメントしています。
「本プログラムにおいてジェトロと連携できることを大変うれしく思います。また、今回応募いただいたスタートアップの質の高さにも、心から感銘を受けています。採択された各社は、それぞれ米国で意義ある臨床データを取得できる可能性を十分に備えており、これは各社の事業・製品開発における重要なマイルストーンになると考えています。」
主な支援内容
1.研究準備・米国渡航(2026年7月下旬~10月上旬)
- 臨床研究デザインおよび必要なデータの特定
- FDA Q-Submission(Q-sub)資料のドラフト作成
- KOLの特定・面談、臨床研究・データ取得サイトの選定
- パートナーとの契約調整およびIRB申請支援
- 品質管理、規制、医療倫理、HIPAA、データインテグリティ、保険償還等に関する講義
- 米国の医療機関、臨床研究パートナー等への訪問(2026年9月頃、サンフランシスコを中心に1~2週間程度)
2.データ取得・検証、卒業ショーケース(2026年10月中旬頃~2027年3月)
各社の研究計画に基づき、臨床データの取得・検証を進めます。専門家との個別メンタリングを通じて、取得したデータの解析・解釈、FDA・保険償還戦略への反映、KOLとの意見交換、資金調達準備、データプレゼンテーション等を支援します。
最終週には米国で卒業ショーケースを開催し、医療機関関係者、現地投資家、アクセラレーター等に対して、プログラムの成果や今後の事業計画を発表する機会を設けます。
プログラム詳細:J-StarX Medical Data Utilization Program(ジェトロウェブサイト)
採択企業一覧 ※アルファベット順
| 企業名 | 事業概要 |
|---|---|
| 株式会社ayumo |
独自の歩容認証技術と医療情報を組み合わせた深層学習モデルを活用し、歩行動画から原疾患の推定や術後評価を支援する医療機器を開発しています。 |
| Cranebio株式会社 |
女性のヘルスケア領域を中心に、手頃で高感度な次世代セルフ検査を開発しています。セルフHPV検査に加え、感染症や細菌の検出にも応用可能な核酸自己検査プラットフォームを展開しています。 |
| 株式会社DELISPECT |
独自に開発したせん妄発症予測モデルを通じて、患者の予後悪化や医療従事者の負担、病院経営への影響など、せん妄に起因する医療課題の解決を目指しています。 |
| 株式会社LIFESCAPES |
脳波を活用したBCI(Brain-Computer Interface)技術により、脳卒中や脊髄損傷患者の機能回復を支援する医療機器・デジタルソリューションを開発・提供しています。 |
| 株式会社Splink |
中枢神経領域に特化した医療AIスタートアップです。簡易認知機能テスト「CQ test」や脳ドック用AIプログラム「Brain Life Imaging」などのプログラム医療機器を開発・提供しています。 |
連携機関について
- TheraNova LLC
- TheraNovaは、米国・サンフランシスコを拠点とする、医療機器・デジタルヘルス分野に特化したバイオメディカルデバイス・インキュベーターです。製品設計、試作、臨床試験、FDA規制対応、保険償還、知的財産、資金調達、事業化までを一貫して支援しています。
- これまでに20社のスピンアウトを創出し、ポートフォリオ企業による4億米ドルを超える資金調達を支援しています。また、30件を超える臨床試験を実施するとともに、120件を超える米国特許の出願・取得実績を有しています。
- 詳細:TheraNovaウェブサイト

ジェトロについて
ジェトロ(日本貿易振興機構)は、貿易・投資の促進を通じて、日本の経済・社会のさらなる発展に貢献することを目的とする独立行政法人です。国内外のネットワークを活用し、スタートアップを含む日本企業の海外展開、海外企業の日本進出、農林水産物・食品の輸出等を支援するとともに、海外ビジネスに関する調査・情報提供を行っています。
スタートアップ分野では、政府の「スタートアップ育成5か年計画」等を踏まえ、海外のアクセラレーター、投資家、事業会社等と連携し、日本発スタートアップのグローバル展開を支援しています。
- お問い合わせ先
- ジェトロ イノベーション部 スタートアップ課(担当:畑﨑、近藤)
Tel:03-3582-5770
Email:IVD@jetro.go.jp



