下関酒造株式会社

初めての海外EC販売に挑戦、 JAPAN MALLを通じて韓国市場で継続受注を実現

企業紹介
1923年に創業した山口県下関市の老舗酒蔵。関門海峡を望む地で100年以上にわたり日本酒造りを続けており、伝統を守りながらも時代や市場の変化に対応した商品開発に取り組んでいる。蔵の地下160mから汲み上げる天然水と長年培った醸造技術を活かし、「関娘」「海響」「蔵人の自慢酒」「SHIDO獅道」などのブランドを展開。近年はアジアを中心とした海外市場への輸出にも力を入れ、日本酒を通じた日本の食文化の発信に取り組んでいる。2015年からジェトロの各種支援事業を活用して海外販路開拓を進めており、2020年からはJAPAN MALL事業に参加している。2025年度には、韓国の越境EC事業者であるmalltail社のJAPAN MALL有料オプションを活用し、韓国市場での販路拡大に取り組んだ。

malltail社ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

“ECでも売れる”という実感から広がった海外展開の可能性

近年、韓国をはじめとする海外市場において日本酒の人気が高まる一方で、現地の実店舗では入手が難しかったり、複数の税金の影響で高額になったりするケースも多く、ECを通じた購入ニーズが拡大しています。

こうした中、弊社では有料オプション参加以前より、malltail社経由での受注が徐々に増加していました。海外ECでの売上が着実に伸びていく中で、「ECでも売れる」という手応えを初めて実感しました。

これを契機に、これまで十分に取り組めていなかったEC分野において、海外展開の可能性を強く認識するようになりました。

ECを活用した新たな販路拡大への挑戦

こうした背景を踏まえ、弊社は越境EC(注1)を活用した海外販路拡大の取り組みとしてJAPAN MALL事業に参加しました。これまで主に現地バイヤー向けの輸出に取り組んできましたが、malltail社からの引き合いを契機に海外ECチャネルでの販売にも注力するようになりました。

また、現地消費者に直接アプローチできるプロモーション施策を実施できる点にも大きな魅力を感じ、参加を決定しました。加えて、従来のコンサルティングサービスと比較して低コストで挑戦できる点や、ジェトロのサービスであることによる信頼性の高さ、日本国内にいながら海外の消費者へ商品を届けることができる越境ECの仕組みである点も重要な後押しとなりました。

とりわけ、日本側で商品を管理しながら海外へ出荷できる体制は、品質維持が求められる酒類において安心感をもたらし、初めて海外展開に取り組む企業にとって大きな意義を持つものでした。

追加発注が続く安定取引へ、成功を支えたポイント

その結果、弊社のEC売上は着実に伸長し、海外展開における明確な成果として実を結びました。さらに、単発の受注にとどまらず、需要の高まりを受けて追加発注が継続的に行われるなど、安定した取引関係へと発展しています。

malltail社の自社EC内での販売に加え、同社の主要販売チャネルである「Dailyshot」でも該当商品の販売量が大きく伸長し、初期の仕入れ分を上回る販売を達成しました。複数回にわたる追加調達も全て完売するなど、高い需要が確認されました。

さらに、追加仕入れに対応した上で、2月にはJAPAN MALLの有料オプションを活用した販売促進に取り組みました。malltail社ECサイトに特設ページを作成、韓国のオンラインコミュニティサイトでのコンテンツ投稿、顧客へのダイレクトメールの配信等のプロモーションを行った結果、複数チャネルで販売が安定し、成果につながりました。

こうした成果の背景には、JAPAN MALLを通じて韓国市場に強みを持つmalltail社と接点を持ち、信頼関係を構築できた点にあります。加えて、EC市場における日本酒需要を適切に捉えたこと、また、海外EC販売に取り組みやすい仕組みが整っていたことも、大きな要因となりました。

特にJAPAN MALL事業で印象的だったのは、海外専任の担当者を配置することなく、国内取引と大きく変わらない形で運用が可能であった点です。原則、国内納品・円建て決済・全量買取という仕組みにより、海外展開に伴う心理的・実務的負担が軽減され、海外EC販路の拡大を無理なく進めることができました。

また、初回販売から追加仕入れ、プロモーションによる販売加速、そして再度の追加発注へとつながる一連の流れが構築されたことで、「売れたら伸ばす」というシンプルで再現性の高い海外販売モデルが確立されたことも大きな成果でした。

malltail社での同社商品「海響 純米大吟醸」のプロモーション
オンラインコミュニティサイト「Naver Café(注2)」にて、商品に関するコンテンツを投稿した。

販路拡大から、文化発信へと広がる今後の取り組み

今後はアジア市場を基盤としながら、さらなる海外展開を視野に入れています。単なる販路拡大にとどまらず、日本酒の魅力を伝える情報発信や、新たな顧客層へのアプローチにも力を入れていく方針です。
さらに、世界各地において日本酒ファンが交流できる場の創出にも取り組み、日本酒を「商品」としてだけでなく、「文化」として広く発信していくことを目指しています。

注釈:
(注1)越境EC:越境電子商取引。インターネットを通じて国境を越え、海外の消費者に商品やサービスを販売する電子商取引のこと。
(注2) Naver Café :幅広い分野で情報交換できるオンラインコミュニティサイト。検索や閲覧だけでなく、それぞれのカフェの掲示板で自由にコミュニケーションが取れる。

ジェトロ担当者からの一言コメント

本事例は、海外EC未経験企業であっても、JAPAN MALLを活用することで海外消費者への販売機会を得られ、継続取引につながる可能性を示した好事例です。
今回の取り組みを通じて、越境ECが同社にとって新たな販売チャネルの一つとして機能し、売上拡大や継続的な取引につながっていることがうかがえました。また、JAPAN MALL事業を活用した海外ECチャネルでの販売が、追加発注を含む継続的な取引関係の構築につながっている点も今回の特徴の一つです。

さらに、輸入酒類の越境ECに強みを持つmalltail社との信頼関係の構築を通じて、単発の取引にとどまらず継続的なビジネスへと発展していることも本取り組みのポイントといえるでしょう。

今後については、アジア市場を起点にさらなる地域展開を見据えつつ、日本酒の魅力を「商品」としてだけでなく「コンテンツ」として海外に発信していく取り組みをしていきたいという展望をお話いただきました。海外の日本酒ファンコミュニティの醸成やコンテンツとしての日本酒プロモーションについては、ぜひジェトロも一緒に盛り上げていきたいと考えております。

下関酒造株式会社

山口県下関市
https://www.shimonoseki.love/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
代表:内田 忠臣
設立年:1923年
事業内容:日本酒の製造・販売。 伝統的な酒造りを受け継ぎながら、 国内外に向けて日本酒と食文化の魅力を発信。
展開地域:韓国、シンガポール、香港、 台湾、オーストラリア、カナダ

2026年7月

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