米主要港、7月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比3.2%増、関税・地政学リスクを背景に高水準の荷動きが持続
(米国)
ニューヨーク発
2026年09月15日
全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告
」(9月9日)によると、7月の米国小売業者向けの主要輸入港(注1)の輸入コンテナ量は、前月比3.2%増、前年同月比3.9%減の230万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となった(注2)。
当初、小売り各社が関税リスクを回避するために夏前に商品を前倒しで調達したことで、2026年の輸入のピークは5月(224万TEU)に前倒しされ、秋口のピークシーズンは既に過ぎ去ったとみられていた。しかし、NRFによると、中国での悪天候による船舶の遅延や、干ばつの懸念に伴うパナマ運河からのルート変更などが影響し、ピークシーズンが後ろ倒しになるかたちで長期化しているという。その背景には、関税、インフレ、イランを巡る紛争に関連した燃料価格の高騰といった複数のリスク要因がある。NRFのジョナサン・ゴールド副理事長は「ピークシーズンは既に大半が過ぎ去ったと考えていたが、実際はそうではなかった」「関税やインフレ、燃料価格の高騰にもかかわらず消費者の購買意欲は衰えず、小売業者も需要に応えるべく商品の入荷を続けている」と指摘し、荷主が柔軟に対応していることを強調した(注3)。
2026年上半期の累計取扱量は1,270万TEU(前年同期比1.1%増)となった。NRFは、今後の見通しについて、8月は前年同月比1.3%減の229万TEU、9月は同9.6%増の231万TEUと、7月をわずかに上回り2026年最大のピークを迎えると予測する(注4)。
主要港の荷動きの状況をみると、当初の想定を超えて旺盛さを維持している。特にロサンゼルス港では、6~8月で合計290万TEUの貨物が同港を通過し、取扱量が高水準で推移した。同港の8月単体の取扱量は95万5,907TEUに達し、過去5年間の平均値を6%上回る高水準となった。通常、秋口に集中していたコンテナ輸送だが、好調な荷動きの影響でピークシーズンが後ろ倒しかつ、長期化する展開となっている。
また、NRFによると、これらの影響に加え、多様な混乱を経験してきた荷主企業がリスク管理のノウハウを蓄積し、需要とリスクに合わせた柔軟な在庫調達や輸送ルートの調整を継続していることも、ピークシーズンの長期化(ひいては平準化)に寄与したとみられる。
(注1)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトルおよびタコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミおよびジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。
(注2)発表されている貨物量のTEUと前年同月比の数値は端数処理の関係で一致しない場合がある。
(注3)ただし、7月の小売売上高は市場予想に反して前月比で減少していたこと(2026年8月17日記事参照)を踏まえれば、こうした好調さが続くか注意が必要だ。
(注4)予測では、10月は前年同月比1.7%増の211万TEU、11月は同0.9%減の200万TEU、12月は同1.1%増の203万TEU。2026年通年の総取扱量は前年比1%増の2,570万TEU(2025年は2,540万TEU)に達するとしている。なお、2027年1月は前年同月比1.0%減の209万TEUと見込んでいる。
(樫葉さくら)
(米国)
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