EU、北極圏への関与強化を確認、グリーンランドへ2億ユーロの投資も
(EU、デンマーク、グリーンランド、フィンランド、スウェーデン、ドイツ、フランス)
デュッセルドルフ発
2026年09月16日
欧州北極サミット(European Arctic Summit)が9月13日、14日の2日間にわたって、フィンランドのロバニエミで開催された。フィンランドのペッテリ・オルポ首相が主導したもので、欧州理事会のアントニオ・コスタ常任議長、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相、デンマークのメッテ・フレデリクセン首相など欧州各国の首脳・政府関係者が参加した。14日にはフィンランド、デンマーク、スウェーデン、ドイツ、フランスなどによる共同宣言
を発表した。宣言の中で、北極圏は急速かつ広範囲な変容を遂げており、その動向は欧州の安全保障と安定に一層大きな影響を及ぼしている点を指摘、欧州と世界の安全保障上、北極圏が戦略的重要性を持つことを踏まえ、危機対応能力の強化などを通じて北極圏におけるEUの地位を強化すべきだとした。加えてEUおよび加盟国は、北極圏の重要原材料、宇宙技術、観光などの分野における持続可能な成長が同地域にもたらす経済的機会を促進、追求すべきだとした。
これに先立つ9月7日、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、デンマーク自治領のグリーンランドを訪問し、デンマーク、グリーンランドとEUの3者間での連携強化に関する共同宣言
を発出した。併せて、グリーンランドへの投資パッケージ
を発表し、具体的には次の分野を対象に、2027年までにEUは2億ユーロを投資する。
- デジタルコネクティビティ
- クリーンエネルギー
- 持続可能な重要鉱物資源
- 教育と訓練
- 持続可能な観光業
- 住宅
- 漁業
- インフラ開発
- 研究とイノベーション
- 市民保護
- レジリエンスとセキュリティー
- 環境と気候変動
「デジタルコネクティビティ」では衛星通信プロジェクトの強化、「クリーンエネルギー」ではグリーンランドの主要水力発電所であるブクセフィヨルド水力発電所の拡張の検討などの計画が含まれている。「持続可能な重要鉱物資源」では、EUが技術面での分析や投資家とスタートアップ・企業とのマッチングを支援する。EU重要原材料法に基づく戦略的プロジェクトに認定されたグラファイト(注)鉱山のプロジェクトであるグリーンロック・アミツォク・グラファイト・プロジェクトなどをEU・グリーンランド双方にメリットをもたらす具体例として挙げ、グリーンランドとEUのバリューチェーン統合の可能性を示した。
前述の共同宣言でも、この投資パッケージは、EUが北極圏において取るべき方針を体現する具体的イニシアチブだと評価している。
(注)黒鉛。炭素で構成される鉱物。熱対策材料としてスマートフォン、人工知能(AI)サーバー、電気自動車(EV)の電池などに使用される。
(福井崇泰)
(EU、デンマーク、グリーンランド、フィンランド、スウェーデン、ドイツ、フランス)
ビジネス短信 f9d538a4161d2040





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