国際知的財産保護フォーラム(IIPPF)、JASAと詐欺広告情報の共有を開始

(日本、世界)

知的資産部知的財産課

2026年09月07日

一般社団法人トラスト&セーフティ協会(JTSA、注1)は8月26日、東京都渋谷区で「詐欺対策カンファレンス Japan 2026」を開催した。同カンファレンスはジェトロ、国際知的財産保護フォーラム(IIPPF、注2)などが後援し、282人が参加した。JTSAは同日、日本オンライン詐欺対策アライアンス(JASA)を正式に設立し、その設立を記念した同カンファレンスにはIIPPFの若代真吾座長(パナソニックオペレーショナルエクセレンス知的財産担当執行役員)が登壇した。また、IIPPFによる詐欺広告などの情報提供を含む、参加企業・団体間の情報共有パイロットプログラムの開始が発表された。

写真 カンファレンスにおけるフォトセッションの様子(主催者提供)

カンファレンスにおけるフォトセッションの様子(主催者提供)

IIPPFは、誘導型SNS詐欺広告(以下、詐欺広告)などを含む知的財産権侵害を権利者、消費者、社会全体に関わる社会課題と捉え、官民が連携して知的財産保護に取り組んでいる。IIPPFインターネットプロジェクトのSNS詐欺広告ワーキンググループ(WG)は、詐欺広告の被害・対策事例をメンバー間で共有し、関係団体やプラットフォーム事業者との連携・対話を行うなど、実効性のある取り組みを進めている。JTSA関係者によると、詐欺広告から偽ショッピングサイトなどへ誘導され、模倣品購入などの被害に至る場合もあり、詐欺広告対応は知的財産権保護の観点からも重要である。

JASAは、オンライン詐欺がSNSや広告による接触から外部サービスへの誘導、決済・送金まで複数の事業者や業界をまたぎ、個社や個別サービスだけでは防ぎにくいことを背景に設立された。企業、業界団体、専門機関、消費者団体、関係省庁などが連携し、情報共有や官民・国際連携を通じて被害抑止を目指す中立・非営利の協調プラットフォームである。IIPPFはJASAとの連携を通じ、JASAの参画団体・企業と詐欺広告に関する知見を持ち寄り、得られた知見を基に、実効性のある対策を検討する。

同カンファレンスで講演した警察庁によると、2025年のSNS型投資詐欺の認知件数は9,523件、被害額は1,288億円で、いずれも前年比約5割増だった。当初の接触手段では、SNSなどに表示される広告が約4割を占め、最多だった。このほか、複数の登壇者から、生成AI(人工知能)を悪用したなりすましや、標的に合わせた詐欺コンテンツの作成・大量展開など、オンライン詐欺の手口が一層巧妙化しているとの指摘があった。

JASAは2026年8月、IIPPFが提供する詐欺広告や誘導先の詐欺サイトに関する兆候情報(シグナル)を、国際的な情報共有基盤Global Signal Exchange(GSE)上で共有し、被害の未然防止に向けた枠組みの構築を目指すパイロットプログラムを開始した。IIPPFは今後、同プログラムを通じて得られる知見を基に、プラットフォーム事業者との連携を検討することとしている。

(注1)オンラインサービス上のユーザーの安全確保と信頼性向上を目的に、実務者が業界を越えて集うコミュニティーとして活動する団体。2025年1月に設立され、情報共有や調査研究、業界・国際連携などを行うほか、中立・非営利の立場でJASAの事務局・運営機能を担う。

(注2)模倣品・海賊版などの海外における知的財産権侵害問題の解決を目指す企業・団体が、業界横断的に集まるプラットフォーム。特許庁が活動を支援し、ジェトロが事務局を担う。

(山本理)

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