チリとアルゼンチン、大型越境鉱山プロジェクト3件の特定追加議定書を承認、越境銅開発を後押し
(チリ、アルゼンチン)
サンティアゴ発
2026年09月02日
チリとアルゼンチンは8月27日、両国国境にまたがる鉱山プロジェクトの開発促進に向け、3件の大型プロジェクトに関する特定追加議定書(PAE)を承認した。対象は「ビクーニャ(Vicuña)」「ネクソアンディーノ(NexoAndino)」「フィロ・スール(Filo Sur)」で、いずれもアルゼンチン・サンフアン州とチリ・アタカマ州の国境地帯に位置する大型銅鉱山開発案件だ。両国では近年、大型銅投資案件が相次いでおり、今回の決定はその開発を促進するための運営ルール整備と位置付けられる。
PAEは、1997年に締結されたチリ・アルゼンチン間の鉱業統合・補完条約に基づき、国境をまたぐ鉱山プロジェクトごとに策定される追加議定書で、探鉱や開発、操業を円滑に進めるための具体的な運営条件を定める。鉱床が国境をまたぐ案件では両国の法制度や許認可手続きの調整が必要となるため、PAEは事業推進の枠組みとして機能する。
今回の合意の背景には、世界的な銅需要の拡大がある。電気自動車や再生可能エネルギー設備、送配電網の整備が進む中、銅はこうした脱炭素化関連インフラに不可欠な金属として位置付けられており、需要拡大が見込まれている。チリは世界最大の銅生産国だが、近年は鉱石品位の低下などによる生産伸び悩みが課題となっている。一方、アルゼンチンは有望な銅資源を抱えながらも大規模商業生産がほとんど進んでおらず、銅産業育成を国家戦略の1つに掲げている。こうした中、両国は国境地域を共同開発することで、新たな銅供給拠点の形成を目指している。
チリ鉱業省によると、現在検討されている越境案件の投資総額は207億ドルを超える。チリのアルバロ・ゴンサレス鉱業次官は、今回の議定書承認について「条約再活性化を具体的成果へと結び付ける一歩だ」と述べ、両国の競争力向上や生産統合の深化につながるとの見方を示した。
現地鉱業専門メディアは、国境地帯に広がるビクーニャ地区を世界有数の新規銅開発拠点とみている。同地区ではカナダのルンディン・マイニングとオーストラリアのBHPが主導する開発構想が進められており、将来的に7件以上の鉱山操業が見込まれる。報道によれば、地区全体では年産約50万トンの銅に加え、金80万オンス(約24.9トン)、銀2,000万オンス(約622トン)の生産が見込まれている。
(高橋英行)
(チリ、アルゼンチン)





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