越境ラボ、越境EC1,259社の成功要因について分析結果を発表

(日本)

デジタルマーケティング部ECビジネス課

2026年09月14日

一般社団法人越境ラボ、ジェトロ、明治大学奥山雅之研究室は8月28日、明治大学にてセミナー「中小企業の海外展開は何で決まるのか?-1000社調査から見えた成功企業の共通点と次の一歩-」を共催した。越境ラボの顧問でもある明治大学政治経済学部の奥山雅之教授は、ジェトロとAmazonが連携して実施する越境EC事業「JAPAN STOREプログラム」参加企業1,259社の調査データを基に、海外展開で成果を上げる企業の特徴に関する分析結果を発表した。

奥山教授は、越境ECへの「取り組み進捗段階」(準備や出品が進む段階)と、「成果発生段階」(実際に売り上げが生じる段階)では成功要因が異なると指摘した。越境ECの成功は「参入→売り上げ」の単純モデルでは説明できず、両者の間には見えない壁が存在すると説明した。

分析結果によると、取り組み進捗では「国際化経験・実務蓄積」が強い正の相関を示し、「グローバル戦略志向」「市場設計・STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)能力」も有意な正の関連を示した。一方で、人材や予算不足などの内部資源制約は取り組み進捗と負の相関を示した。他方、成果発生段階では「国際化経験・実務蓄積」が強い正の関連を示し、「内部資源制約」も正の関連を示した。奥山教授は、内部資源制約そのものが成果を高めるのではなく、課題認識が改善行動を促した可能性があるとの見方を示した(添付資料表参照)。

奥山教授は、研究結果を踏まえた実務的示唆として、第1段階(取り組み進捗段階)では市場選定やターゲット設定、差別化ポイントの検討などの計画・準備が重要である一方、第2段階(成果発生段階)では、販売後の顧客の反応や物流上の課題といった想定外の事象に対応しながら、手持ちの資源を使って小さく試して改善していくことが重要になると述べた。

後半では、越境ラボの安田哲理事長、岡田昇理事、奥山教授の3者によるパネルディスカッションを実施。海外展開においてはBtoBとBtoCを問わず、現地の生活習慣や趣味嗜好(しこう)を踏まえたローカライズや、戦略や計画性も持ちながらテストマーケティングを実施し、長期的な視点を持って柔軟に対応していくことが重要である点が強調された。

越境ラボは、今回の分析結果をもとに、企業の越境ECへの取り組み状況を診断するツールの開発を進めていると紹介。企業の現状把握や支援方針の検討のために活用することを想定し、回答データの蓄積や分析を通じてさらなる検証を進める意向を示した。

写真 (左)奥山教授による講演の様子、(右)パネルディスカッションの様子(左から、安田理事長、岡田理事、奥山教授)(ともにジェトロ撮影)

(左)奥山教授による講演の様子、(右)パネルディスカッションの様子(左から、安田理事長、岡田理事、奥山教授)(ともにジェトロ撮影)

写真 越境EC準備力診断ツールα版の診断結果(サンプル)の画面(ジェトロ撮影)

越境EC準備力診断ツールα版の診断結果(サンプル)の画面(ジェトロ撮影)

(松田かなえ)

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