商品住宅販売制度の改善に関する通知発表、予約販売を段階的に現物販売へ移行
(中国)
北京発
2026年09月03日
中国の住宅・都市農村建設部、自然資源部、国家金融監督管理総局は8月28日、「商品住宅販売制度の改善に関する通知」(以下、通知)を発表した(同日施行)。今回の措置は中国共産党第20期中央委員会第4回会議(四中全会)および第15次5カ年規画(2026~2030年)において提起されていた「不動産開発の新モデル」の重要な一部となる商品住宅販売制度を改善するものと位置づけられている。
通知では、主に(1)商品住宅の予約販売に対する管理の改善、(2)商品住宅の現物販売の段階的普及、(3)政策の共同実施の強化について定めている(注1)。
(1)については、商品住宅プロジェクトで予約販売を行う場合は物件の主要部分の工事を完了しなければならないとした(注2)。予約販売の資金に対する監督管理も強化し、住宅購入者の頭金や住宅ローンなどの資金は全額を専用口座に預け入れて管理するとした。
(2)については、通知の施行日以降に新規に譲渡された土地の商品住宅、および既に土地譲渡済みだが建設工事計画許可証を未取得の商品住宅プロジェクトについては、現物販売を優先することとした。すでに同許可証を取得済みの商品住宅プロジェクトについても、現物販売を奨励するとした。
(3)については、1件の不動産プロジェクトについて主担当となる銀行1行を定めることにより、資金供給支援を強化するとした(注3)。
住宅・都市農村建設部ウェブサイトに転載された中国中央電視台(CCTV)の報道によると、今回の通知公布以前から、住宅の現物販売は一部地域で試行されており、全国の新築商品住宅に占める現物販売の比率は2022年の13.9%から2025年の32.4%まで上昇している。
今回の通知について、浙江工業大学中国住宅不動産研究院の虞曉芬院長は「国が住宅の現物販売を推進するのは市場の変化に対応したものだ。住宅現物販売によって住宅購入者の合法的権益の保障が強化される」と指摘している(「CCTV」8月29日)。
国家統計局によると、2026年1~7月の不動産開発投資額のうち、住宅投資額は前年同期比19.1%減と、減少傾向が継続している。同期の新築商品住宅の販売面積、販売額もそれぞれ12.7%減、13.2%減と2桁減になっている。住宅の予約販売モデルが主流となっている中で、購入した物件が完成せず引き渡されないリスクがあることが、消費者が住宅購入を躊躇する要因の1つであるとの指摘もされてきた中、今回の措置が住宅購入をめぐる不透明感の解消に寄与するか注目される。
他方、国家統計局によると、2026年1~7月の不動産開発企業の調達資金に占める頭金や前受け金の比率は31.4%と自己資金(36.2%)に次ぐ規模となっており、今後、頭金や前受け金の比率が縮小することになれば、不動産開発企業の資金繰りに影響が及ぶ可能性もある。このため、今回同時に発表された不動産企業に対する融資に関する通知と併せて本政策の効果を見ていく必要がある。
(注1)商品住宅の予約販売とは、企業が現在建設中の物件を購入者に事前に販売し、購入者が代金を前払いする販売方式。現物販売とは、物件の引き渡しの段階で代金の支払いを行う方式。
(注2)通知の施行前に建設工事の計画許可証を取得していた商品住宅プロジェクトにおいて予約販売を行う場合の条件や資金の監督管理については、従来の政策の規定に基づいて行うものとした。
(注3)本通知と同日に公布された「商品住宅開発融資管理弁法(試行)に関する通知
」「商業用不動産融資管理弁法(試行)に関する通知
」において、融資についてはメインバンクを決定したうえで当該銀行が単独で行うか、複数の銀行が「銀行団(中国語で「銀団」)」を組んで行うものとした。
(小宮昇平)
(中国)
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