李強首相、米中ビジネス評議会代表団と会見、米中関係は全体として安定を維持と評価

(中国、米国)

北京発

2026年09月03日

中国国営メディア新華社によると、李強首相は9月1日、中国を訪問した米中ビジネス評議会(USCBC、注1)の代表団と会見した。

李首相は、USCBCが長期にわたって米中関係および米中の経済貿易協力の推進において重要な役割を果たしてきたと評価した。また、米中双方の努力によって現在の両国関係は全体として安定を保っていると述べた。その上で、中国は米国とともに2026年5月に両国首脳が合意した重要な共通認識に従い、対話と意思疎通を強化し、互恵的協力を拡大し、対立を適切に管理・コントロールし、米中の「建設的戦略安定関係」(注2)の構築を進め、より多くの実務的成果を得たいと表明した。

また、李首相は、中国は世界で唯一、大きさと新しさの2つの特徴を備えた潜在力に富む市場と説明した。特にスマート消費やグリーン消費などの質・グレードの高い消費が伸びているため、米国企業には積極的にこの機会を捉え、中国市場の開拓を強化するよう求めた。さらに、米国企業の合理的な要望の解決へ向けて積極的に動き、公平な競争による市場環境を維持すると表明したほか、米国側に対して、具体的な行動で中国側の懸念を解決し、ともに両国の経済貿易協議の成果を実施するよう求めた。

USCBC代表団は同日、工業情報化部の李楽成部長とも会見した。李部長は、工業情報化部は米国側とともに、両国首脳の共通認識を実施し、実務的協力を強化したいと表明した上で、より多くの米国企業が自身の優位性を発揮して産業・サプライチェーンの協力を深化させることを歓迎するとした。工業情報化部の発表によると、双方は新エネルギー車(NEV)、情報技術、人工知能(AI)、医薬健康などの分野での協力強化について交流したとしている。

なお、8月25日には、中国共産党中央対外連絡部(中連部)と米国アジア・ソサイエティの共催による「第3回米中トラック1.5対話」が北京市で開催された。中連部によると、中国側関係部門、地方政府、シンクタンク、大学および米国のビジネス界など約40人が参加し、「建設的戦略安定-新時代の米中実務協力-」をテーマに交流を行った(注3)。基調講演を行った劉海星中連部長は、相互尊重、平和共存、協力の堅持によって、米中関係が「トゥキディデスの罠(わな)」(注4)を乗り越え、大国関係の新たなモデルを切り開くこと、ともに大国としての責任を担い、建設的な対話によって国際協力に重要な原動力を与え、地球規模の課題に協力して対応すること、経済貿易、衛生、農業、観光、人文、法執行、地方などの分野での交流や協力を拡大し、米中関係の強靭(きょうじん)性を絶えず高めることなどを訴えた。

(注1)USCBCは、中国でビジネスを行う270以上の米国企業が参加する組織。中国では「米中貿易全国委員会」と表記されることが多い。

(注2)中国外交部の発表によると、2026年5月に北京市で行われた米中首脳会談において、両国首脳は「米中建設的戦略安定関係」の構築を両国関係の新たな位置付けとすることで一致したとされる。「建設的戦略安定」とは、協力を主とする積極的安定、競争が節度ある「良性的」安定、相違がコントロール可能な常態的安定、平和が期待できる持続的安定であるべきで、これは単なるスローガンではなく、互いに歩み寄る行動であるべき、と習近平国家主席は説明している(2026年5月15日記事参照)。

(注3)同対話は2023年から開始され、同年に第1回が、2024年に第2回が開催された。今回の第3回対話では、米中の政治的相互信頼の増進、経済貿易協力の発展、AI・科学技術・国際および地域における協力、医療協力・人的文化交流の4つの議題について議論が行われた(「中国新聞網」8月26日)。なお、同対話に参加するために訪中した米国代表団は8月24日、王滬寧全国政治協商会議主席(共産党中央政治局常務委員)と会見している。

(注4)ハーバード大学のグレアム・アリソン教授が唱えた概念で、新興勢力の台頭に既存の大国が危惧を抱き、対立・衝突を招くこと。中国外交部の発表によると、習国家主席も2026年5月14日の米中首脳会談においてこの概念に言及したとされている。

(小宮昇平)

(中国、米国)

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