北欧最大級のスタートアップイベント「TechBBQ 2026」開催、安全保障分野も大きなテーマに
(デンマーク)
デュッセルドルフ発
2026年09月16日
北欧のスタートアップ政策や投資動向を把握する重要な場である「テック・バーベキュー(TechBBQ)2026」が8月26、27日にデンマークの首都コペンハーゲンで開催され、7,000人以上が来場し、多くのスタートアップ、投資家、企業、研究者、政策関係者らが参加した。人工知能(AI)やディープテックを中心に、安全保障分野への関心拡大も見られ、欧州におけるスタートアップエコシステムの変化を映し出した。
TechBBQは、スタートアップのプレゼンテーションの場であると同時に、資金調達、事業提携、ネットワーキングの場でもある。会場では、例年と同様にデジタルツールが活用され、「セレンディピティ(注1)」につながるネットワーキングの機会が多く提供された。5つのステージでは、20以上のテーマについてセッションが開催され、講演やパネルディスカッションが行われた。
AI主権(注2)、AIスタートアップ、ディープテック、ライフサイエンスなどのプログラムが並び、2026年の核となったトピックは、引き続きエージェンティックAI(注3)だった。AIを単独の技術としてではなく、既存産業の再構築を担う基盤技術として位置付ける議論が目立った。特に今回は防衛、サイバーセキュリティー、デュアルユース(注4)の展示やプログラムが組まれており、スタートアップの技術・ソリューションと安全保障の接近への関心の高まりもうかがえた。
また、北欧では大学、研究機関、行政、企業が連携するかたちでのスタートアップ支援が盛んで、TechBBQでも大学の研究成果の事業化や社会実装をテーマとする公共性の高いセッションが数多く見られた。全体の傾向として、スタートアップ支援策や資金調達の方法といった個別の議論だけでなく、スタートアップの技術やソリューションの実装を通じた新たな社会・経済基盤の構築といったより広い視点からの議論も目立った。
北欧のスタートアップ市場は、前述のように産官学民の異分野ネットワークや協業連携を重視する。日本企業にとって、北欧を単なる投資先、最終市場として見るのではなく、欧州での技術実証、共同開発、投資・提携先を探索する入り口として捉え、統合的に欧州のスタートアップエコシステムを理解することが重要だろう。
(注1)思いがけない発見や偶然の幸運。
(注2)AIを取り巻くデータや関連インフラなどを、自国で自律的に管理・調達・発展させられる状態。
(注3)目標達成に向けて自律的に情報収集・計画・実行を行うAI。
(注4)一般用途と軍事用途のどちらにも適用可能な技術・製品。
(安岡美佳)
(デンマーク)
ビジネス短信 631224c266906ce2





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