EU司法裁判所、「IKEA」商標の政治的利用に関する解釈を提示
(ベルギー、EU)
デュッセルドルフ発
2026年09月10日
EU司法裁判所(CJEU)は9月8日、有名企業の商標を政治キャンペーンで利用した場合の、商標権と表現の自由の関係について判断を示した。本訴訟では、ベルギーの政治団体であるアルヘメーン・フラームス・ベランフ(Algemeen Vlaams Belang)が移民政策に関するキャンペーン「IKEA-PLAN」〔『Immigratie Kan Echt Anders(移民政策は本当に別の方法で可能だ)』の頭文字〕で「IKEA」の名称を使用したことに対し、家具大手イケア(IKEA)の商標権者であるインター・イケア・システムズ(Inter IKEA Systems)が意義を唱えていた。
EU法では、「正当な理由なく」著名商標の識別力や名声から不当に利益を得たり、これを害したりする使用を禁止している。本件では、表現の自由に基づく政治的パロディーが、この「正当な理由」に該当するかが争点となった。
CJEUは、政治的意見の表明や政治的パロディーを含む表現の自由が、有名商標の利用に関する「正当な理由」となり得るとの解釈を示した。一方で、その可否は個別事案ごとに、商標権者の知的財産権と利用者の表現の自由を比較衡量して判断すべきとした。
具体的な判断要素として、利用者が表現の自由を善意で行使しているか、公共的な議論への貢献があるか、利用が商業的文脈で行われたかに加え、商標の著名性、利用の範囲や頻度、商標権者が当該政治的主張を支持しているとの印象を与える可能性などを挙げた。
その上でCJEUは、本件では政治団体が「IKEA」商標の著名性を利用して政治メッセージを強化し、その拡散を図ったことや、商標との高い類似性が認められたことや、繰り返し利用されたことなどから、当該利用が商標権者の権利・利益に優越する「正当な理由」に当たるとは認められない可能性が高い、との見解を示した。ただし、最終的な事実認定と判断は、係争を審理するベルギーの国内裁判所に委ねた。
(吉森晃)
(ベルギー、EU)
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