米サンフランシスコ・ベイエリアで「ファウンダーX 2026」開催、「リーン・スタートアップ」著者らが議論

(米国)

サンフランシスコ発

2026年09月04日

米国のスタートアップ支援機関ファウンダー・インスティテュート(注1)は82527日、サンフランシスコ・ベイエリアで起業家・投資家向けイベントの「ファウンダーX 2026FounderX 2026)」を開催した。同機関とベンチャーキャピタル(VC)ファンド運営者向け支援機関ディサイル・グループ(注2)が100カ国・地域以上、6大陸に持つネットワークから参加者が集結した。

26日に行われたプログラムでは、「ニューヨーク・タイムズ」紙のベストセラーリストに掲載された「リーン・スタートアップ」の著者で、同名の事業開発手法を体系化したエリック・リース氏と、米ゲーム会社ジンガ(注3)を創業・上場させ、複数の起業・投資実績を持つマーク・ピンカス氏によるパネルディスカッションがにぎわいを見せた。

写真 リース氏とピンカス氏のパネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

リース氏とピンカス氏のパネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

リース氏が提唱した、必要最小限の製品を顧客に試してもらい、反応を測りながら事業仮説を修正する手法は、世界各地の個人や企業で実践され、日本でも「オープンイノベーション白書(注4)」などで取り上げられている。パネルディスカッションでは、起業家がどこまで不確実性を引き受けられるかに話が及び、ピンカス氏は、2つの起業の在り方を対比して説明した。1つは、「10年間、誰にも評価されないまま、それでも最終的に世界を変えるようなアイデアを生み出せる確率が20%しかない」道、もう1つは、「80%ほどの確率で、資金調達できる程度に良いアイデアをかたちにし、会社を立ち上げ、いずれ買収されるかもしれない」道だ。そして、「ほとんどの人は後者を選ぶ」と語った。では、成功する確率が低く、長期間にわたって成果も評価も得られない道を、なぜあえて選ぶのか。これに対しリース氏は、「この問題を完全に解決するために人生をささげる」と決めた創業者の野心には、長期にわたって本人を支える力があると述べた。また、そうした強い目的意識を持つ起業家には、同じ目的を持つ人々も引き寄せられると指摘し、不確実性を乗り越えるには、単なる成功確率の計算ではなく、問題解決に向けた使命感が重要だと説いた。

さらに、8月で出版15周年を迎える「リーン・スタートアップ」を今書き直すなら「後半部分だ」とし、スタートアップで使われる考え方を大企業などのより大きな組織に広げる方法について、「当時はあまりにも簡単そうに書いてしまった」と振り返った。

同イベントには、国連貿易開発会議(UNCTAD、注6)も参加し、会場においてファウンダー・インスティテュートと、途上国の起業家育成やスタートアップ・エコシステム強化に向けた覚書(MOU)の署名式が行われた。

(注1)2009年にシリコンバレーで設立されたスタートアップ支援機関。100カ国・地域以上、200都市以上で活動し、これまでに9,000社以上の企業立ち上げを支援。

(注2)VCファンドを立ち上げるファンド運営者を主な支援対象とする米国の組織。旗艦プログラム「VCラボ(VC Lab)」を通じ、ファンド設立や資金調達などを支援する。

(注3)2007年にマーク・ピンカス氏が創業した米ゲーム会社。ソーシャルゲームを手掛け、2011年に株式公開した。2022年に米ゲーム大手テイクツー・インタラクティブに買収された。

(注4)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とオープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)が、日本のイノベーション創出の現状や課題、企業の取り組みなどを整理した白書。

(注5)顧客について学び、事業の仮説を検証するために、必要最小限のかたちで提供する製品。

(注6)途上国の貿易・開発を支援する国連機関で、起業家育成や起業環境の整備にも取り組む。

(武田史織)

(米国)

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