バンコク首都庁、データセンターの建設許可を一時停止、タイ政府も法整備を急ぐ
(タイ)
バンコク発
2026年09月11日
タイのバンコク首都庁(BMA)は9月4日、都内で建設予定のデータセンター3カ所について業許可手続きを一時停止すると発表した。タイ政府もデータセンター建設について、全国的な法整備を急ぎ行い、経済・社会・環境上の懸念に対応する方針だ。
BMAの公式フェイスブック投稿(9月4日付)によると、対象となったデータセンターは、発電機の夜間テストによる騒音について周辺住民より苦情を受けたため、関係機関が審査を受けている。また、バンコク都内のラマ9世通りにある別のデータセンターでは、油臭に関する苦情を受け、当局による調査の結果、揮発性有機化合物(VOC)が検出された。事業者には、油膜の除去などの改善を7日以内に行うよう指示した。
チャッチャート・シッティパン都知事は、現在(本稿執筆時点)、40カ所以上のデータセンターがオフィスビル内に設置されており、現行法ではデータセンターの定義や分類が明確でなく、倉庫として許可申請できるケースもあると明かした。同知事は今後、都市計画・建築・エネルギー規制を見直し、独立型データセンターに適した区域(ゾーニング)設定を検討する。そのため、データセンターを環境影響評価(EIA)報告書が必要なプロジェクトリストに追加する可能性にも触れた。
タイ全土のデータセンターに波及
BMAの発表を受け、タイ政府は関係閣僚らを集め、データセンター事業政策委員会を9月4日に設置・開催
した。同委員会に対し、再生可能エネルギーの促進やデータ保護を含めて、データセンターの法的位置づけを定義することなどを指示した。委員会後の記者会見
によると、アヌティン・チャーンウィーラクーン首相は、タイはデータセンター投資を妨げないが、案件ごとに審査し、承認する方針に転換することを強調した。今後は経済・社会・環境上の観点から、公共への悪影響を防ぐため、データセンター事業者が順守すべき最低基準も定める。また、タイのネットゼロ目標や人工知能(AI)の発展に寄与させるため、タイ企業、特に中小企業に裨益(ひえき)するよう留意するという。
政府が基準を策定する間、166カ所(建設中49カ所、許可申請中117カ所)のデータセンター建設計画が一時停止となる(9月4日付「ネーション」紙)。タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)によると、現在タイでは35カ所のデータセンターが稼働している。現地紙「ザ・スタンダード」(9月4日付)は、データセンター投資額の半分以上が、設備などの輸入に充てられており、タイ国内への経済波及効果は限定的で、その恩恵は主に建設工事と土地取引に集中している、と報じている。
(藪恭兵)
(タイ)
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