オランダ物流セミナー開催、輸入VAT支払い繰り延べ制度など解説
(オランダ、日本)
アムステルダム発
2026年09月18日
オランダ経済・気候政策省企業誘致局(NFIA)、オランダ物流振興協会は9月14日大阪、15日東京で物流セミナーを共催した。オランダ大使館、ジェトロが後援した。
セミナーでは特にオランダの輸入VAT支払い繰り延べ制度の解説がトピックの1つとして注目を集めた。オランダには、輸入時に課される付加価値税(VAT)の支払いを繰り延べることができる制度が存在する。この制度は1968年売上税法(Wet op de omzetbelasting 1968)第23条を法的根拠とする「Article 23」と呼ばれ、オランダの港湾や空港を経由してEU域内に輸入される貨物を対象としている。
同制度は、フランスやベルギーなど他のEU加盟国にも存在するが、オランダの制度は手続きが比較的簡易で利用しやすい点が特徴だ。
本制度を利用すると、輸入時に本来即時支払いが必要となる輸入VATを、通常の四半期ごとの定期VAT申告・納付時まで繰り延べることができる。輸入時にはVAT申告書上で売上VATとして自己申告する必要があるが、事業者がVATの全額控除権(100%控除権)を有している場合には、同時に仕入VATとして控除することが可能だ。この仕組みにより、理論上は売上VATと仕入VATが相殺され、輸入VATの実際の支払いが不要となる。
最大のメリットは、輸入VATの支払いを定期納付時まで繰り延べることができる点にあり、これにより企業のキャッシュフローが大きく改善される。EU各国のVAT税率は多くの国で20%前後のため、資金負担の軽減効果が非常に大きい。さらに、輸入時にVATを納付するプロセスを経ることなく通関手続きが開始されるため、通関リードタイムの短縮にもつながる。同制度は、オランダ国内に設立された事業者(現地法人など)が直接利用できる。またVAT代理人を指定することで、オランダ国外に所在する輸入者も利用することができ、日本の法人やオランダ以外のEU加盟国に所在する日本企業の現地子会社も利用可能だ。
現地の物流会社や会計事務所などをVAT代理人として指定した場合、オランダおよびEUにおける税務コンプライアンスの確保や、VAT申請・還付などの実務を一任できるほか、税務当局との円滑なコミュニケーションや良好な関係構築といった付加的なメリットも享受できる。セミナーで講師をつとめたロンデン・アンド・ファン・ホラント(Londen & van Holland)会計事務所のラケシュ・ギラー(Rakesh Ghirah)氏によると、本制度は非居住者在庫との相性もよく、多くの米国企業が活用する一方で、日本企業の利用は相対的に少ないとしている。日本企業の間では同制度の認知度が十分でない可能性があるため、オランダ側関係者は今後も継続的なセミナーや業界紙を活用した告知活動を計画している。
(奥井浩平)
(オランダ、日本)
ビジネス短信 28184f0a150f4179





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