ベルリンで清酒試飲イベント開催、伝統と革新が共存する「SAKE」の世界を紹介

(ドイツ、日本)

ベルリン発

2026年08月18日

清酒試飲イベント「OUR SAKE MARKET」が7月16~18日、ドイツ・ベルリンで開催された。本イベントは、東京を拠点に国内外で日本酒イベントを手掛けるSakejumpと、ベルリンで日本酒ショップを運営するOur Sake Companyの共催により実施されたもので、日本酒の認知拡大と欧州市場の開拓を目的としている。

ドイツでは、「SAKE」として清酒がワインやビールと同様に国際的な酒類カテゴリーとして認知されつつある。本イベントの特徴は、日本で造られた日本酒(注1)だけでなく、クラフトサケ(注2)や日本酒の醸造技術を用いて現地で製造された清酒も含めた幅広い「SAKE」の世界を紹介した点にある。会場には、日本の酒蔵に加え、ドイツのインポーターや醸造所も出展し、多様なSAKEが紹介された。ドイツで日本酒を専門的に取り扱う「Our Sake Club」「Sui Sui」「Sake Kontor」「Ueno Gourmet」のほか、ベルリン初のSAKE醸造所として知られる「Reigen」やナチュラルワインとSAKEを扱う「Confetti People」が出展した。日本からは、高知県ブースをはじめ、ENTER.Sake(愛知県)、haccoba(福島県)、阿部酒造(新潟県)、倉本酒造(奈良県)などの蔵元が参加し、それぞれの銘柄を紹介した。

もう1つの特徴は、「No formality, no technical jargon. Instead, simplicity.(堅苦しい形式や専門用語ではなく、シンプルに楽しむ)」をコンセプトとして掲げたことだ。伝統的な日本酒の分類や専門知識を前面に出すのではなく、来場者が自由に試飲しながら、自分の好みに合うSAKEを発見できる場づくりが行われた。

写真 ワイングラスを手に多様なSAKEを飲み比べる来場者(マルクトハレ・ノイン提供)

ワイングラスを手に多様なSAKEを飲み比べる来場者(マルクトハレ・ノイン提供)

日頃はクラフトビールやナチュラルワインに親しむ来場者からも関心が寄せられ、日本酒になじみのない層にも訴求していた。

日本酒、クラフトサケ、現地醸造酒の違いにとらわれるのではなく、多様なSAKEを飲み比べながら、それぞれの個性を楽しむ姿が目立った。こうした様子からは、日本酒への関心の高まりが新しいスタイルへの興味にもつながり、SAKEカテゴリー全体への理解が広がっていることがうかがえた。

また、チーズとSAKEのペアリング企画も実施された。日本食との組み合わせにとどまらず、欧州で親しまれている食文化との相性を提案することで、SAKEをより身近な飲み物として紹介する試みだ。こうした取り組みは、日本酒を和食に限らない幅広いシーンで楽しむ可能性を示していた。

写真 チーズとSAKEのペアリングの魅力を紹介する様子(マルクトハレ・ノイン提供)

チーズとSAKEのペアリングの魅力を紹介する様子(マルクトハレ・ノイン提供)

出展した蔵元からは、「消費者の生の反応を直接確認できた」との声も聞かれた。イベントは単なるPRの場にとどまらず、消費者や飲食関係者との接点を通じて、市場ニーズを探る機会としても機能していた。

ドイツを含む欧州では健康志向の高まりなどを背景にアルコール消費を控える動きもみられ、酒類市場を取り巻く環境は変化している。一方、日本の財務省貿易統計によると、ドイツ向け日本酒(清酒)の輸出額は2025年度に約3億8,616万円となり、近年、高水準で推移している。

こうした中、「OUR SAKE MARKET」は、伝統と革新が共存するSAKEの世界を紹介することで、日本酒が欧州の食文化やライフスタイルの中でどのように受け入れられていくのか、その可能性を感じさせるイベントとなった。

(注1)日本酒:コメ、米こうじ、水を主な原料として発酵させてこした「清酒」のうち、原料のコメおよび米こうじに日本産米のみを使用し、日本国内で醸造したもの。

(注2)クラフトサケ:日本酒の醸造技術をベースにしながら、果実やハーブなどの副原料を用いるなど、従来の清酒の枠にとらわれない発想でつくられる新しいカテゴリーの醸造酒。

(山田美雪、佐藤由美子)

(ドイツ、日本)

ビジネス短信 fa05b55abb82a4b4