コンテンツ大手の閲文集団、上半期の業績を発表、AI活用でIP運営事業売上高が前年同期比41.9%増

(中国)

上海発

2026年08月19日

ネット小説を原作とするドラマやアニメ、ゲーム、グッズ展開を手掛ける中国のコンテンツ大手の閲文集団は8月11日、2026年上半期(1~6月)の業績を発表した。同社によると、売上高は前年同期比10.7%増の約35億3,140万元(約847億5,360万円、1元=約24円)となった。同社の侯暁楠最高経営責任者(CEO)は、IP(知的財産)と人工知能(AI)を組み合わせた事業展開が成長を支え、IP運営事業売上高は前年同期比41.9%増の16億1,000万元となったと説明した。このうち、ショートドラマおよびAI「漫劇(注1)」事業の売上高は約27%を占め、4億3,000万元(前年同期の約3.3倍)を超えた。

同社は2026年上半期、AI技術を活用して1,000作品以上のネット小説を「漫劇」化した。このうち46作品の再生回数が1億回を超えた。中には全プラットフォームでの再生回数が30億回を超え、原作小説の販売拡大にもつながった作品もあった。中国のコンテンツ市場調査会社DataEye研究院によると、同社は2026年上半期、紅果短劇(注2)のAI漫劇著作権保有企業ランキングで首位となった。同プラットフォームにおける作品人気の総合指標である「熱度値」は16億を超え、2位の企業に3億以上の差をつけている。

また、同社は2026年上半期に90作品を超えるショートドラマを公開した。侯CEOによると、同社作品のヒット作品比率は市場平均の4倍に達した。男性向け作品、女性向け作品の双方でバランスの取れた作品展開を進め、人気IPのシリーズ化にも成功した。男性向け作品の「隐身侍衛」は50億回超の再生回数を記録している。

IP関連商品のGMV(流通取引総額)は前年同期比60%超増の7億8,000万元となった。傘下ブランド「閲文好物」は人気IPを活用した商品展開を強化したほか、IP関連イベントやファン交流イベントなどを実施し、ユーザーとの接点拡大を図った。

このほか、同社によると、2026年上半期には同社プラットフォームには約24万人の新規作家が参加し、46万作品超のオンライン文学作品が新たに生まれた。AIの活用は同社の海外展開の加速にもつながっている。同社の海外向けプラットフォームWebNovel上のAI翻訳作品は、6月30日時点で累計3万作品を超え、2026年上半期の同プラットフォームの小説収入の40%を占めた。少数言語作品の売上高は前年同期比2.6倍となり、多言語圏の利用者獲得に寄与したとしている。

中国は「第15次5カ年(2026~2030年)規画」で、ネット文学を含むデジタル文化コンテンツの育成と健全な発展を推進する方針を明記した。また、中国国務院は2025年8月、「『AIプラス』行動の実施徹底に関する意見」で、AIを活用した文化コンテンツの創作や文化発信を推進し、中華文化の要素や特色を持つコンテンツの創作と文化産業の発展を促進する方針を示している。

(注1)漫劇とは、漫画やイラストなどの静止画に、動画演出や音声、字幕などを付加して制作される短尺コンテンツであり、「漫画の動画化」とも位置づけられる。近年は生成AIの活用が進み、AIによる脚本制作、画像・音声生成を用いた作品が増加しており、こうした生成AIを活用して制作された漫劇は「AI漫劇」と呼ばれる。

(注2)紅果短劇は、中国の動画共有サービス大手バイトダンス(字節跳動科技)傘下の抖音集団が運営する無料ショートドラマ配信プラットフォーム。

(許蓓莉)

(中国)

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