ドナウ川の渇水でパクシュ原発の出力低下、ハンガリー政府は企業、自治体、国民へ自主的節電を要請

(ハンガリー)

ブダペスト発

2026年08月05日

ハンガリー政府は7月30日、電力需給逼迫への対応として大口需要家に自主的な節電を要請した。背景には、国内最大の発電施設であるパクシュ原子力発電所(注)が冷却水として利用しているドナウ川の水位が記録的な低水準まで低下したことがある。このため、安全確保の観点から同発電所の出力が段階的に引き下げられている。

政府によると、ドナウ川の渇水による水位低下に伴い、同原発の原子炉・発電設備の出力抑制と停止を段階的に実施している。発電出力は、通常2,000メガワット(MW)であるところ、7月31日時点で960MW、8月1日時点で480MWまで低下した。8月2日には原子炉4基のうち3基が停止し、出力は240MWまで落ち込んだ。政府は、ドナウ川のさらなる水位低下が続いた場合、1982年の運転開始以来、初めて全面停止に至る可能性があるとしている。一方、停止作業の過程および停止後も原発の安全性は確保されるとしている。なお、現地8月3日夕刻時点では1基のみが運転を継続しており、同原発は完全停止には至っていない。

こうした状況を受け、送電系統運用会社MAVIRは電力系統の重大障害に備えた対応プロトコルを発動し、電力供給の継続に必要な措置を講じている。一方、政府は輸入電力や国内の予備発電設備を活用しながら需給バランスの維持を図る方針。

政府は8月1日に公布した政令118/2026号により、電力需給逼迫時や電力供給危機の恐れがある場合、MAVIRが大口需要家に対して負荷削減を指示、場合によっては供給を停止できるよう制度を改正した。ただし、現時点では強制的な需要制限は導入せず、自主的な節電を優先する方針を示している。

政府によると、これまでに300社超が自主的な節電への参加を表明し、約400MWの電力消費削減効果が見込まれている。さらに約270社の追加参加が見込まれるという。

同時に政府は、企業、自治体、国民に対し、電力需要のピークとなる午後5時から午後10時までの節電を要請している。8月2日には、企業や自治体、住民の協力により実際の電力消費が予測を約700MWも下回った。政府は8月3日時点で電力供給は安定としているが、今後数日間が最も重要な局面になるとの認識を示している。

(注)同原発の総設備容量は約2,000メガワット(MW)で、国内電力需要の約4割を賄う基幹電源。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー)

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