カナデビアイノバ、モロッコ初の統合型廃棄物発電事業の契約を締結

(モロッコ、スイス、日本)

ラバト発

2026年08月17日

カナデビアのスイス子会社カナデビアイノバ(注1)は8月4日、モロッコのエネルギー大手ナレバ(Nareva)および伊藤忠商事とともに、カサブランカ市と一般廃棄物処理・資源化事業に関するコンセッション契約(注2)を締結したと発表した。また、同事業で発電する電力の売電に向け、カサブランカ・セタット州の広域公共サービス事業者SRMカサブランカ・セタットおよびモロッコ電力・水道公社(ONEE)との電力購入契約(オフテイク契約)も締結した。

同事業は、国際・地場企業によるコンソーシアムが開発するモロッコ初の統合型廃棄物発電(Waste-to-Energy:WtE)プロジェクトだ。事業期間は33.5年で、カサブランカ市の一般廃棄物を独占的に処理し、カサブランカ圏の420万人超が対象となる。年間約150万トンの廃棄物を処理し、資源化率を約80%まで高めることで、埋め立て処分への依存を大幅に低減する計画だ。

発電設備容量はベースロード電源126メガワット(MW)の廃棄物発電設備に加え、50メガワットピーク(MWp)の太陽光発電設備および4MWの埋め立て地バイオガス回収設備を備える。年間発電量は約10億キロワット時を見込み、約100万人分の電力需要を賄うことが可能となる見込み。電力需要の増加が続くモロッコのエネルギー転換にも寄与するとしている。

事業予定地は、アフリカ有数のメタン排出源とされるメディウナ埋め立て地に隣接し、埋め立て処分中心の廃棄物管理からエネルギー回収型へ移行することで、温室効果ガス排出削減効果が期待される。

プラントには、3基の超大型焼却炉、燃焼制御システム、排ガス処理システム、SNCR(無触媒選択還元法)脱硝設備、蒸気タービン発電設備といった最先端の技術が導入される。排出基準はEUの産業排出指令(IED)およびBAT(利用可能な最良技術)基準に適合し、規制値を大幅に下回る水準に維持され、さらに将来的な二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)設備の導入も可能な設計となっており、さらなる排出削減と長期的な脱炭素化に対応できるとしている。

カナデビアイノバは本事業で、設計・調達・建設(EPC)、運転支援、長期保守および資金調達を担当する。同社のブルーノ・フレデリック・ボードワン最高経営責任者(CEO)は今回の契約締結について、「本プロジェクトは、同社の国際成長戦略と世界中で持続可能な廃棄物管理ソリューションを提供するという使命において重要な節目となり、強靭(きょうじん)で循環型のインフラ整備により、モロッコの環境・エネルギー転換に貢献できる」と述べた。

また、事業開発担当副社長のファビオ・ディナル氏は、「カサブランカ廃棄物発電施設は、メタン排出を伴う埋め立て処分からの脱却に向けたモロッコの方針を示すものであり、本プロジェクトを通じて気候変動対策と将来世代のための持続可能な社会づくりに貢献したい」と述べた。

(注1)カナデビアイノバ(Kanadevia Inova)は、スイスに本社を置く廃棄物発電・再生可能ガス分野の大手企業。旧Hitachi Zosen Inovaで、2024年に親会社のカナデビア(旧日立造船)の社名変更に合わせ現社名へ改称した。

(注2)コンセッション契約は、公共インフラについて、民間事業者が資金調達・建設・運営を行い、一定期間の運営権を得る契約形態。

(鈴木優香)

(モロッコ、スイス、日本)

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