米国によるメキシコ産イチゴへの暫定AD関税、メキシコ経済省・業界団体が懸念表明

(メキシコ、米国)

メキシコ発

2026年08月24日

米国商務省(DOC)は8月18日、冬季のメキシコ産生鮮イチゴに対するアンチダンピング(AD)調査の仮決定を公表した。同決定に基づき、輸出事業者に応じて3.37%~5.28%(平均4.83%)の暫定AD関税率が適用される。本調査は2025年12月、米国フロリダ州の生産者団体による申し立てを受けて開始された。

本件の特徴は、米国の提訴側が冬季のイチゴを一般のイチゴと区別し、さらに米国東部を米国市場全体から独立した地域市場として定義している点にある。2026年3月の米国国際貿易委員会(USITC)による予備報告では、冬季イチゴを別商品とする根拠や地域市場の存在は否定されていたが、今回のDOCの仮決定ではこれら季節性および地域性の概念が採用されている(注)。

これに対し、メキシコ経済省は同日、懸念を表明するプレスリリースを発表した。同省によると、メキシコ国内のイチゴ生産者は約5,000人(うち97%が10ヘクタール以下の小・中規模農家)で、関連産業を含め約15万1,000人の雇用を支えている。2025年の対米輸出量は26万3,000トン(約10億ドル規模)に上り、影響の大きさを強調した。

また、メキシコ全国農牧畜協会(CNA)も8月19日に声明を発表し、今回の前提条件はWTOのアンチダンピング協定や、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)、および米国国内法に抵触すると主張した。CNAは「メキシコと米国の農業貿易は、相互補完性に基づいて発展してきた」とした上で、今回の季節性や地域性を基準とした判断が前例となり、他のメキシコ産農産品・青果物へ波及することによる市場の不確実性に強い警戒感を示した。

メキシコ政府は国内生産者・輸出企業と連携し、2027年初頭に予定されているUSITCによる最終決定までの過程を注視していく構えだ。

(注)米国のアンチダンピング調査について、商務省(DOC)が「ダンピングの有無およびマージン率の算定」を、米国国際貿易委員会(USITC)が「輸入による米国内産業への実質的な損害(またはその恐れ)の有無」をそれぞれ判定する。正式に関税命令が発令されるには、両機関がダンピングおよび損害を最終認定する必要がある。

(深澤竜太)

(メキシコ、米国)

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