スペイン政府、アルマラス原発の運転認可を2030年6月まで延長、2027~2035年の脱原発日程を一部変更
(スペイン)
マドリード発
2026年08月24日
スペイン政府は8月12日付の省令
で、南西部エストレマドゥーラ州カセレス県のアルマラス原子力発電所1、2号機の運転認可を2030年6月8日まで更新した。省令は14日付官報(BOE)に掲載された。従来の運転終了予定は1号機が2027年11月、2号機が2028年10月で、延長期間はそれぞれ31カ月、19カ月。これに先立つ7月16日、原子力安全委員会(CSN)は運転許可更新について、安全・放射線防護上の条件を付した肯定的な報告を出していた。今回の措置で2027~2035年の脱原発日程を一部変更することになるが、政府は、対象をアルマラス原発に限定し、そのほかの国内原発の運転を2035年までに終了する脱原発方針は変更しないとしている。
原子力は2025年の国内発電量(自家消費分を除く)の19%を占め、風力に次ぐ第2の電源。アルマラス2基の純発電量は国内の原子力発電量の3割弱に相当する。
政府は延長理由に、中東情勢やウクライナ戦争に伴う国際エネルギー市場の不確実性を挙げた。天然ガスなど化石燃料の価格急騰が消費者に及ぼす影響を抑える一時的措置とする一方、再生可能エネルギーや蓄電設備の導入は引き続き進めるとしている。
アルマラスは、国営放射性廃棄物管理会社(ENRESA)と原発事業者が2019年に合意した2027~2035年の段階的運転終了日程(添付資料参照)で、最初に運転を終える予定だった原発だ。
今回の延長を巡る各党の評価は分かれた。連立政権の少数派スマール(急進左派)は、2023年の社会労働党(PSOE)との政権合意に反すると批判。最大野党の民衆党(PP、中道右派)は延長を歓迎しつつ「不十分」とし、段階的運転終了計画そのものの撤回を求めた。極右ボクスも延長を歓迎しており、右派2党は原発の継続利用により積極的な立場だ。
アルマラスは現政権の任期中に運転終了を迎える予定だった唯一の原発。2027年には総選挙が予定されており、今回の延長により、アルマラスの次の運転終了判断は次期政権下に持ち越されることになる。PPが計画自体の撤回を掲げる中、政権構成次第では、2035年までの脱原発方針があらためて政治課題となる可能性がある。
(伊藤裕規子)
(スペイン)
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