トランプ米大統領、ドローン・同部品の輸入に232条関税の適用を決定、9月発動
(米国)
ニューヨーク発
2026年08月17日
米国のドナルド・トランプ大統領は8月13日、1962年通商拡大法232条に基づき、無人航空機システム(UAS、以下ドローン)・同部品への追加関税賦課などを指示する大統領布告を発表
した。同日、ファクトシート
も発表した。
232条は、特定製品の輸入が米国の国家安全保障に脅威を及ぼすと商務長官が判断した場合に、追加関税など輸入制限措置を発動する権限を大統領に認めている。商務省は2025年7月に、ドローン・同部品に関する232条調査を開始した(2025年7月16日記事参照)。商務長官は調査の結果、当該製品の輸入が国家安全保障を損なう恐れがあると認定した。また、米国がドローン・同部品の供給を外国に過度に依存するほか、国内生産能力が不十分だとし、輸入制限措置の実施を勧告した。トランプ氏は勧告を受け、次の措置を決定した。
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付属書I
に掲げる最大離陸重量が25キログラム(kg)を超え、国家安全保障上特に機密性の高いドローン・同部品、赤外線画像装置を搭載するドローン、ドッキングステーション(注1)に100%、付属書II
に掲げる25kg以下のドローンに25%の関税を課す。関税は米国東部時間2026年9月3日午前0時1分以降の通関に適用する。 -
付属書III
に掲げるドローンの部品に25%を課す。ただし、国内生産拡大の時間を確保するため、同付属書に掲載される品目への関税は2027年2月9日以降の通関に適用する(注2)。 - 日本、韓国、台湾、EU、スイス、リヒテンシュタインの製品は232条関税と一般関税率(MFN税率)の合計を15%、英国の製品は10%とする。
- 9月2日時点で戦争省(国防総省)が定める「ブルーUAS許可リスト」および「ブルーUASフレームワーク」、さらに連邦通信委員会(FCC)が定める「条件付き承認リスト(注3)」に含まれる製品・同部品への関税は2027年2月9日以降の通関に適用する。
- 米国内でドローン・同部品の生産施設に新規投資する企業を対象に、232条関税を免除する「オンショアリング・プログラム」を設置する権限を商務長官に付与する(注4)。
追加関税対象のドローンの米国輸入額(2025年、注5)は約1億8,700万ドルで、国別にはベトナムが約22.4%、中国が約15.0%、カナダが13.9%を占める。なお、輸入額は前年比で60.7%減となっており、特に2024年の米国輸入額の52.8%を占めたマレーシアが、2025年には約2.2%に落ち込んだ。その要因として、2024年10月に米国がウイグル強制労働防止法(UFLPA)に基づきマレーシアに生産拠点を持つ中国ドローン大手DJI(大疆創新科技)の製品の輸入を差し止めたことが指摘されている(シルバラード・ポリシー・アクセラレーター
、2025年8月6日)。今回の232条関税により、外国製ドローン依存低減の動きがさらに進展するかが注目される。
(注1)ドローンの充電やデータ転送を行うための基地。
(注2)付属書IとIIIの両方に該当する場合は、重複して課税せず、付属書Iを優先する。
(注3)無線通信機器を米国に輸出・販売する場合、原則としてFCCの認証取得が必要となる。FCCは、国家安全保障と米国人の安全に容認できない脅威をもたらし得る「対象機器・サービス」リスト
を定めており、ドローンは同リストに含まれている。このため、無線通信を行うドローンを米国内で販売するには、戦争省(国防総省)または国土安全保障省が国家安全保障上のリスクがないという「条件付き承認(Conditional Approval)」を取得する必要がある。「条件付き承認」が付与されたドローンのリストは、FCCのウェブサイト
に掲載されている。
(注4)ここでの232条関税が、今回発表された関税のみを指すか、232条に基づき課されている、ほかの品目を対象とした関税を含むかについては明記されていない。
(注5)商務省センサス局より統計データを取得。関税分類番号(HTSコード)8806.21~99の品目を対象に算出した。
(大原典子)
(米国)
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