チリ政府、民間企業とリチウム特別操業契約締結、国家管理を維持しつつ民間参入拡大へ
(チリ)
サンティアゴ発
2026年08月27日
チリ政府は8月25日、鉱業・化学メーカーのキボラックス(Quiborax)と、リチウム生産を認める「リチウム特別操業契約(CEOL)」を締結
した。投資額は約7,000万ドルで、北部アリカ・パリナコタ州に所在するキボラックスのホウ酸製造施設に蓄積された鉱山廃棄物からリチウムを回収する計画だ。
チリでは1979年以来、リチウムは国家管理資源とされている。現在、商業規模でリチウムを生産している企業はSQMとアルベマール(Albemarle)の2社のみであり、両社はそれ以前に得た権益に基づいて操業している。それ以外の民間企業が新たにリチウム事業を行うには、政府とのCEOL締結が必要となる。政府は今回、キボラックスの財務基盤を確認した上でCEOLを締結した。
今回のプロジェクトは、ホウ酸生産の過程で発生したスリレ塩湖由来の鉱山廃棄物〔残滓(ざんし)〕を再処理してリチウムを回収するもので、新たな塩湖開発を伴わない循環型資源活用モデルとして位置付けられている。チリ鉱業省によると、対象となる残滓には炭酸リチウム換算(LCE)で約1万9,775トンのリチウムが含まれていると推定されている。契約上の生産上限は2万トン(LCE)で、契約期限は2046年末までとなる。
契約には環境・技術面の要件も盛り込まれている。具体的には、再生可能エネルギーの利用拡大、水使用量の削減、効率的にリチウムを回収可能な「直接リチウム抽出法」(DLE)の活用などが含まれる。
契約には、国家への収益還元の仕組みも盛り込まれている。国庫への納付額はリチウム製品の国際価格と販売量に応じて決定され、高価格局面では国家への還元割合が最大50%に達する可能性がある。民間企業による事業実施を認めつつも、資源収益の一定部分を国家が確保する制度だ。
今回の案件は、民間投資の拡大を掲げるカスト政権下で締結された初のCEOL案件であり、リチウム分野における民間参入の進め方を示す事例となった。政府は全面的な自由化ではなく、引き続きCEOLを活用した民間参入の枠組みを維持しつつ、財務基盤の確認や国家への収益還元を求める運用を示した。
(高橋英行)
(チリ)
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