タイ証券取引所、上場企業のガバナンスルールを強化
(タイ)
バンコク発
2026年08月05日
タイ証券取引所(SET)は、上場企業に向けた情報開示に関するルールなどを改正し、コーポレートガバナンスや情報開示要件を強化したと発表
した。改正ルールは7月1日から発効している。
今回の改正は、ガバナンスにおける透明性の向上、現在の市場動向や国際基準との整合性確保のほか、投資家が投資判断を行うために、十分かつ適時の情報が得られるようにすることを目的としている。SETの発表によると主な改正概要は次のとおり。
(1)透明性向上のための重要情報開示の強化
- 財務状況や業績にリスクのある事項の開示:上場企業などは、資産減損、予想信用損失、期限超過となった預託金返還請求など、財務状況や事業運営にリスクを及ぼす事項を、財務諸表の提出時に併せて開示しなければならず、問題解決まで四半期ごとに進捗報告が必要。
- 内部統制に関わる事項の即時開示:取締役会や監査委員会が、内部統制に重大な影響を与える可能性のある事象を認識した場合に、直ちに情報開示しなければならない。
- 株主構成の重要な変動の月次開示:株式保有比率の5%ごとの閾値(いきち)超過時、公開買い付け完了時など、株式の所有構造に重要な変化があった場合、翌月、株主名簿を開示しなければならない。
(2)バックドア・リスティング(裏口上場)(注1)基準の改正:バックドア・リスティングについては、法的形式ではなく、支配権の変更などの経済的な実態を評価する基準へ変更。
(3)キャッシュ・カンパニー(注2)基準の改正:資産売却によって生じたケースだけに限らず、企業全体の財務状況を基に判断。
(4)「C(Caution)」(注3)銘柄指定基準の改正:期間計算の基準を「企業が実際に情報開示を行った日」から「企業に情報開示義務を発生させる事象が起きた日」に変更。情報開示を遅らせることによって、適時開示を行った企業よりも長い是正期間を得ることを防止する狙い。
(5)新規上場企業のフリー・フロート(一般投資家向け流通株式比率)基準の改正:払込資本金100億バーツ(約470億円、1バーツ=約4.7円)以上の上場企業に認められていたフリー・フロート配布期間の猶予措置を廃止。
(注1)新規株式公開(IPO)を行わず、既存上場会社の買収などにより上場すること。
(注2)キャッシュ・カンパニーとは、資産の全部または大部分が現金もしくは現金同等物で構成され、明確な事業活動を行っていない企業のこと。
(注3)「C(Caution)」は投資家に対して当該証券の売買時に特別な注意を促す警告表示のこと。
(野田芳美、ピンラウィー・シリサップ)
(タイ)





閉じる