米小売り大手が第2四半期の決算発表、関税還付が利益を押し上げ
(米国)
ニューヨーク発
2026年08月21日
米小売り大手のターゲットは8月19日、米小売り最大手ウォルマートは8月20日、2026年度第2四半期(5~7月期)の決算を発表した。両社ともに政府からの巨額な関税還付が利益を大きく押し上げ、売上高も市場予想を上回る堅調さを見せた。一方で、経営陣からは消費者の節約志向や事業環境に対する慎重な見方も示された。
ターゲットの純売上高は前年同期比5.3%増の265億4,000万ドル、純利益が前年同期の約2倍となる18億7,700万ドルと大幅な増収増益だった。同社は税引き前で9億9,400万ドルに達した米関税の還付が利益を押し上げたと説明、1株当たり当期純利益(EPS)は市場予想(2.33ドル)を大きく上回った。既存店売上高も3.8%増と市場予想(2.4%増)を上回った。顧客獲得に向けた1万品以上の値下げ戦略が奏功し、来店客数が3.6%増加したほか、当日配送が25%以上伸びた電子商取引(EC)売上高も8.7%増と好調だった。主要6部門全てが前年実績を上回った。中でも玩具・エンターテインメント(娯楽)などの部門が2桁台の増加を記録したほか、食品や美容品も1桁台の増加率を維持している。足元の好調な売り上げ推移に加え、一時的な利益押し上げ要因が寄与し、同社は業績予想を上方修正した。ターゲットの業績は2四半期連続で回復基調にあるものの、マイケル・フィデルケ最高経営責任者(CEO)は、業績改善に対して依然として慎重な姿勢を崩していない。同氏は記者団に対し、「まだ取り組むべき課題は多い」と指摘。その上で、「オペレーションの執行力強化と、顧客からの評価の改善が相乗効果を生んでおり、今後の戦略推進に向けた強固な基盤となる」(CNBC8月19日)と、さらなる改革への意欲を示した(注)。
一方、ウォルマートの純売上高は前年同期比5.9%増の1,861億ドルとなり、市場予想を上回った。また、約29億ドルの関税還付が利益を大きく押し上げ、同社はこれを下半期の値下げ投資に充当する方針を示した。米国内のEC事業が24%増と急成長したほか、広告事業「ウォルマート・コネクト」が43%増と大幅に拡大した。しかし、米国内の既存店売上高は2.6%増にとどまり、市場予想(3.5%増)を下回った。薬局事業の価格引き下げの影響が押し下げ要因となったほか、伸び率全体も2020年以来で最低水準へ減速した。同社のジョン・レイニー財務責任者(CFO)は、ウォルマートの市場シェア拡大の最大の要因は高所得者層の獲得であるとした上で、「(高所得者層向けの)より高価格帯で洗練されたブランドが、在庫の大部分を占めている」と言及した。同時に、「特にガソリン価格の高騰を背景に、消費者が経済的に追い詰められている状況が続いている」とも語り、消費動向への警戒感を示した(CNBC8月20日)。
(注)ターゲットではここ数年業績不振が続いており、消費の必需品シフトや、多様性・公平性・包摂性(DEI)施策の後退による顧客離れ、トランプ政権の関税強化に伴うコスト増といった多層的な課題に直面している。
(樫葉さくら)
(米国)
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