チリ政府、コデルコ利益の全額留保を初承認、生産回復投資を優先

(チリ)

サンティアゴ発

2026年08月14日

チリ政府は8月10日、国営銅公社コデルコ(CODELCO)の2025年の利益・剰余金などに相当する24億2,200万ドルを全額、社内に留保し資本化することを承認したと発表した。

発表は「鉱山労働者の日」の記念行事に合わせ、中部バルパライソ州にあるコデルコのアンディーナ事業所で行われた。ダニエル・マス経済兼鉱業相は、今回の措置について「50年以上の歴史で初めて国家が単年度利益の100%留保を認める歴史的な決定」と位置付けた。コデルコの利益はこれまで主として国庫に納付されてきた。近年も再投資が認められるのは平均で年間利益の最大約30%にとどまっており、政府が利益の100%留保を認めるのは今回が初めてという。

今回の措置は、生産面・財務面の課題への対応が目的だ。マス経済兼鉱業相は、信用格付けの維持、流動性の確保、生産能力回復に向けた投資に加え、「生産上の課題への対応としてさらなる債務の増加に依存することを避ける」ことが狙いだと説明した。また、コデルコに対し、財務規律の徹底、透明性向上、支出の効率化、投資案件の厳格な選別を求めた。

ホルヘ・キロス財務相は、近年コデルコが国庫へ納付してきた原資の一部は、結果として債務の増加によって支えられていたとの認識を示した上で、「今回は初めて利益を引き出さない。コデルコに資金を残すことは良い投資だ」と述べた。資本増強によって追加借り入れを抑えながら重要プロジェクトを進めることが可能になるとの見方を示した。

今回の決定の背景には、コデルコの厳しい経営環境がある。主要メディアは、同社が約260億ドルの債務と生産低迷に直面していると指摘している。今回の措置は、5月に就任したベルナルド・フォンテーヌ会長の下で進められているコデルコ再建への政府支援と受け止められている。この決定は、短期的な財政収入よりも中長期的な銅生産能力の維持・回復を優先する政策判断として注目される。

(高橋英行)

(チリ)

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