ホルムズ海峡情勢悪化で日本の原油調達に顕著な影響、ITC分析

(日本、中東、世界)

調査部中東アフリカ課

2026年08月07日

国際貿易センター(ITC、注1)は8月4日、ホルムズ海峡情勢が世界経済に及ぼす影響についての分析を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。原油、液化天然ガス(LNG)、尿素など、ホルムズ海峡への依存度の高い12の品目(注2)について、2026年4月の貿易統計を基に取引量の変化や代替供給の状況について分析している。

報告によれば、ホルムズ海峡依存経済圏(注3)からの4月の輸出は前年同月比54%減少し、指定された12品目は全て減少している。主な品目の前年比減少率は次のとおり。

  • LNG:95%減
  • 尿素:83%減
  • メタノール:80%減
  • アンモニア:75%減
  • ポリプロピレン:24%減

代替供給の状況について、12品目のうち、10品目で代替供給国からの輸出が増加したが、ホルムズ海峡依存経済圏からの供給減少を代替供給国が完全に埋め合わせたのはアンモニア、ポリプロピレンのみだった。代替供給国としては、米国が液化ブタンやLNG、中国がポリエチレンやポリプロピレンの供給増加に大きく貢献した。

原油については、輸入の91%をホルムズ海峡依存経済圏から調達する日本が最も依存度が高い市場であり、結果として総輸入量は64%減少した。ほかに依存度が高い国として、韓国も輸入量が23%減、マレーシアも41%減少した。タイについては輸入量が62%増加したが、これは同国の製油会社が代替供給国から追加の原油を積極的に確保したためだと分析している。

今後の見通しについて、紛争の一時的な沈静化により物流再開の期待は高まっているものの、ホルムズ海峡の通航量は依然として平常時を大きく下回っており、物流の正常化の時期や条件は不透明であるとしている。また、ホルムズ海峡の通航が再開後も、物流正常化には数カ月を要すると分析する。輸入国については、在庫や戦略備蓄の減少、輸送遅延の慢性化、さらに輸送費・保険料上昇の価格転嫁により、影響は今後も拡大する可能性があるという。

(注1)国連とWTOが共同で運営する国際機関で、開発途上国の中小企業の輸出促進や国際市場への参入支援を担う。

(注2)LNG、原油、精製石油製品、液化プロパン、液化ブタン、尿素、アンモニア、硫黄、メタノール、ポリエチレン、ポリプロピレン、アルミニウムの12品目。

(注3)ITCが分析対象として定義した、バーレーン、イラン、イラク、クウェート、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の7カ国。

(塩川裕子)

(日本、中東、世界)

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