チリ政府、カスト政権発足後に120億ドル超の環境審査案件21件を処理

(チリ)

サンティアゴ発

2026年08月06日

チリ政府は7月28日、環境影響評価制度(SEIA)に基づく閣僚委員会が、ホセ・アントニオ・カスト政権発足後に開催した9回の会合を通じて、総額120億ドル超に相当する21件の投資案件に係る環境認可を巡る異議申し立てなどの審査を終えたと発表した。環境評価庁(SEA)によれば、現在審査対象となっている案件は7件で、全て法定の審査期限内で処理が進められている。このうち閣僚委員会による審査が必要な案件は2件のみとなっている。

閣僚委員会は、環境影響評価に係る異議申し立てや無効請求について審査を行う。政府が今回審査を終えた21件は、新規に環境認可を付与した投資案件数ではなく、環境認可を巡る異議申し立てや審査請求について最終的な行政判断が下された案件数を意味する。

今回の発表では、投資案件に係る許認可手続きの迅速化に向けたカスト政権の取り組みの進展が示された。フランシスカ・トレド環境相は、投資家への予見可能性向上を目的として、閣僚委員会を少なくとも月1回開催する方針の下で会合を継続してきたと説明。「判断が行われていなかった全ての案件について決定を下すことができた。現在、閣僚委員会は定期的に開催され、各案件を所定の期限内に審査している」と強調した。

カスト政権下で審査が完了した主な案件としては、チリ国営銅公社コデルコ(CODELCO)のミニストロ・アレス鉱山の操業継続・拡張計画(投資額28億ドル)がある。同案件は、鉱山の操業期間延長と銅精鉱生産量の拡大を目的とする。また、首都圏州に建設される新国立がん研究所の建設計画(1億8,430万ドル)、アタカマ州で鉱業・物流インフラを支える港湾計画「Copiaport-e」(4億5,000万ドル)、国家電力系統向け159.6メガワットの太陽光発電事業「Tamarico Fase II」(2億5,000万ドル)などについても審査が行われた。審査対象となった案件は、鉱業、エネルギー、物流、医療インフラなど多岐にわたる。

今回の第9回会合では、港湾案件と送電案件の2件で判断が示された。まずバルパライソ港のコンテナターミナル開発計画「Terminal Cerros de Valparaíso(TCVAL)」(投資額3億8,000万ドル)では、閣僚委員会は環境認可に対する異議申し立てを退けた。同案件は、新たなコンテナターミナルの建設・運営を通じて港湾の貨物取扱能力向上を目指している。

また、チリ中部のマウレ州からビオビオ州間の送電事業計画「Línea de Transmisión Eléctrica Itahue-Hualqui」(3億2,400万ドル)では、総延長406.93キロメートルの送電線や変電設備の整備を計画している。閣僚委員会は、同案件の環境認可の維持決定に対する無効請求を棄却した。

今後審査案件の1つとして、アントファガスタ州で計画されるチリのインフラ企業クラムサ(CRAMSA)の海水淡水化事業「Aguas Marítimas」がある。同案件の投資額は50億ドルとされ、北部鉱業地域への水供給インフラとして計画されている。

(高橋英行)

(チリ)

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