OECD、マレーシア経済調査2026を発表、税制・規制・教育改革を提言

(マレーシア)

クアラルンプール発

2026年08月05日

OECDは7月28日、マレーシアの行政首都プトラジャヤで「マレーシアOECD経済調査2026PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。同調査は、国内外の課題を踏まえ、マレーシア経済の現状を分析するとともに、今後の見通しおよび持続的成長に向けた政策提言を提示した。

OECDは、マレーシア経済が底堅い成長を遂げていると評価した。同国の実質GDP成長率は、2025年の5.2%から2026年に4.9%へ減速するものの、2027年には5.0%へ回復すると予測した。また、貿易摩擦や資源価格の上昇、世界需要の鈍化を下振れリスクとして挙げた。一方、インフレ率は2025年の1.4%から、2026年に2.1%、2027年に2.3%へ上昇すると見込んだ。

OECD国別研究ディレクターのルイス・デ・メロ氏は、マレーシアが今後も持続的な成長を確保するためには、財政、規制、教育分野における改革が必要だと指摘した。具体的には、エネルギー補助金の削減による公共支出の効率化や、物品・サービス税(GST)の再導入、個人所得税の課税ベース拡大を含む税制改革を通じた税収拡大を提言した。また、外国投資・デジタル分野の規制緩和による投資・技術流入の促進、価格統制の段階的廃止や政府関連企業(GLC)と民間企業の競争条件の公平化を通じた市場競争の活性化などが生産性向上に不可欠だとした。教育分野では、学力低下やスキルミスマッチへの対応として、幼児教育の拡充による学習基盤の強化、技術・職業教育訓練(TVET)強化による実践的な人材育成、大学と産業界の連携深化による雇用ニーズとの整合性向上の必要性も指摘した。さらに、洪水の発生頻度と被害の深刻化が進むマレーシアでは、気候変動への適応計画の強化や災害保険の拡充に加え、カーボンプライシング(注)の導入、再生可能エネルギー投資の促進などを通じて、気候レジリエンスを高めることの重要性も強調した。

一方、提言された税制改革に対し、マレーシアのアクマル・ナスルッラー経済相は、所得水準が十分に改善されない段階で新たな税を導入した場合、家計消費や所得に悪影響を及ぼす可能性があるとして、GSTの再導入に先立ち、賃金の引き上げと課税ベースの拡大を優先する方針を示した。

(注)温室効果ガスの排出に価格を付け、排出削減を促す政策手法。

(戴可炘)

(マレーシア)