パキスタンのIT輸出額が過去最高に、カワジャIT・通信相もIT化の推進を強調

(パキスタン)

カラチ発

2026年08月06日

パキスタンのIT産業は近年、著しい成長を遂げている。IT・ITeS(IT関連サービス)輸出額は2024/2025年度(2024年7月~2025年6月)に約38億ドルを記録し、前年度比18.3%増加した。さらに、2025/2026年度には過去最高の46億ドルへ拡大し、前年度比20.6%増を達成した。現在、IT輸出は総輸出額の約15%を占める主要な外貨獲得源であり、現地報道によれば、政府は2028/2029年度までに100億ドルへの拡大を目標としている。

このような中、同国のシャザ・ファティマ・カワジャIT・通信相は7月28日、国際的なモバイル通信業界団体であるGSMA(注)との共同イベント「デジタル・ネーション・パキスタン」において、同国がデジタル経済への移行を急速に進めていると強調した。GSMAが発表した「デジタル・パキスタン 2030」報告書によると、通信インフラ整備、インターネット普及、デジタルガバナンスが着実に進展している。同相は、IT産業が国家経済の中核的な役割を果たしているとしつつ、政府の第一の目標は全国に最高かつ最先端のデジタルインフラを提供することだと言及した。

こうした成長を支える最大の資産が人的資本だ。人口約2億5,000万を擁する同国は若年層比率が高く、高等教育委員会(HEC)によると年間約7万5,000人のIT関連卒業生が輩出され、豊富な若年IT人材が競争力の1つとなっている。一方、拡大し続けるIT市場に対して、ITインフラの未整備や、人工知能(AI)、ブロックチェーン、ハイエンドBPOサービスなどの最先端分野で高度な実務スキルを備えた人材が不足しているとの指摘もある。

パキスタン政府はデジタル経済への移行を人材面から後押し

政府や関係機関、IT業界はこうした課題を認識しており、ITサービスの高付加価値化に向けて、AIやフィンテックをはじめとする先端分野の人材育成や、産学連携によるスキル向上施策を推進している。商業都市カラチが位置するシンド州政府もその一環として、「シンド州知事IT教育イニシアティブ」を実施しており、授業料無料の教育機会を提供することで、若手ソフトウエア技術者やデータサイエンティスト、AI人材の育成を後押ししている。

パキスタンのIT産業は、人材供給力、急速に拡大するデジタル市場、政府の積極的な振興政策を背景に、中長期的に高い成長可能性を有する。日本企業にとってもIT人材確保、オフショア開発、スタートアップ連携などの観点から有望なパートナー市場となり得る。

(注)GSMA(Global System for Mobile Communications Association)は、世界の主要な通信事業者やテクノロジー企業など1,000社以上が参加する、国際的なモバイル通信業界団体。モバイル通信やデジタル技術の普及促進、政策提言、標準化、調査研究などを通じて世界のデジタル化を支援している。

(糸長真知)

(パキスタン)

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