EUIPO、オーウェルの代表作「1984」の商標登録認めず、作品名かブランド名かが争点

(EU)

デュッセルドルフ発

2026年08月27日

EU知的財産庁(EUIPO)大審判部は2026年5月27日、英国人作家ジョージ・オーウェルの代表作『1984』について、書籍、映画、ゲーム、教育サービスなどを対象とするEU商標登録を認めないと判断した。オーウェルの作品群の著作権や商標などを保有・管理する故ソニア・ブラウンウェル・オーウェル遺産管理団体(以下、遺産管理団体)はこの判断を不服として8月10日にEU一般裁判所に提訴した。

本件の争点は、『1984』が単なる小説の題名なのか、それともブランドとして機能しているのかという点にあった。遺産管理団体側は、長年にわたるライセンス管理や映画・演劇化を通じて、『1984』は消費者にとって正規のコンテンツを示すブランドとして機能していると主張した。

これに対しEUIPOは、消費者が「1984」という表示を見た場合、まずオーウェルの著名小説そのものを連想すると判断した。そのため、書籍や映画などに使用されても、「オーウェル作品に関するコンテンツ」を意味すると理解されるだけで、特定の事業者に由来する商品・サービスであることを示すブランドとは認識されないとした。

なお、遺産管理団体は、オーウェルの代表作『動物農場』についても同様の理由で商標登録が認められなかったため、併せて提訴している。もし今回のEUIPOの判断が確定した場合、従来商標登録されていた著名な作品タイトルについても、消費者に対して特定事業者の商品・サービスを示すブランドとして機能していることを十分に示せない場合には、その登録の有効性があらためて争われる可能性がある。そのため、EU一般裁判所が「著名な作品タイトル」と「ブランド」の境界をどのように判断するかが注目される。

(吉森晃)

(EU)

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