イラク北部モスルの国営縫製工場、ドイツの支援で改修終え、正式に操業再開

(イラク、ドイツ)

ドバイ発

2026年08月25日

イラク北部ニナワ県モスルで8月10日、産業・鉱物資源省傘下の国営繊維・皮革産業会社が運営するワラディ(Waladi)縫製工場が改修を終え、正式に操業を再開した。改修には、ドイツ政府がドイツ復興金融公庫開発銀行(KfW Development Bank)を通じて資金を拠出し、国連開発計画(UNDP)が生産棟や管理施設の復旧、繊維・縫製設備の導入を実施した。UNDPの調達記録によると、2023年には同工場の改修工事として約489万ドルの契約が締結されていた。

同工場は1980年代に設立され、子供服を中心に製造してきたが、イスラム国(IS)からモスルを奪還する戦闘に巻き込まれ、壊滅的な被害を受けた。国際移住機関(IOM)は2018年に工場の一部を復旧し、かつて約1,200人いた従業員のうち300人超が生産活動に復帰したとしている。その後の復旧を経て、今回の本格再開に至った。UNDPによると、現在650人超が雇用されている。このうち約300人が女性で、生産、品質管理、管理部門などで働く。

イラクの独立系ニュースサイト「964メディア」(8月14日付)のインタビューによれば、工場責任者は年間生産能力を14万点としている。政府機関向けでは、電力部門から作業服1,800着を受注済みで、今後、上下水道部門向けの契約も控えている。

これらの製品は、イラク中部のバグダッドやナジャフ、南部のバスラにも流通しており、国営バスラ石油会社向けの作業服の納入実績もある。作業服は上下1組で2万2,000~3万ディナール(約2,600〜3,600円、1ディナール=約0.12円)で、耐火性の作業服は4万5,000ディナールで販売している。

生地は、中国、トルコ、インドネシアから輸入している。工場には現在、ミシン約280台があり、このうち約80台が稼働している。縫製工不足のため、残る約200台を稼働できていない。ISによるモスル占拠前の2014年以前には約800台の機械を備えていた。現在も残る従来設備の多くは日本の「タジマ製」で、新たに導入された機械は主に中国製だという。

イラクの地元紙アルマダ(8月11日付)によると、ニナワ県のアブド・アル=カーディル・アル=ダヒール知事は、モスルは工業に適した立地であり、「メード・イン・モスル」を掲げて工業都市計画を進めているとした。産業・鉱物資源省次官はワラディ縫製工場の再稼働について、ニナワ県の工業活動の活性化、国内生産の回復、雇用創出につながると説明した。モスルの復興が、製造業の生産や雇用、国内販売の回復にまで広がるかが注目される。

(大野晃三)

(イラク、ドイツ)

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