トランプ米大統領、232条に基づきポリシリコン・派生品の輸入に最低輸入価格・追加関税の適用を決定、12月発動

(米国)

ニューヨーク発

2026年08月10日

米国のドナルド・トランプ大統領は8月6日、1962年通商拡大法232条に基づき(注1)、ポリシリコンおよび派生品の輸入に対する最低輸入価格(MIP)の設定や、派生品に対する15%の追加関税賦課などを指示する大統領布告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。ホワイトハウスは同日、ファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも発表した。

商務省産業安全保障局(BIS)は2025年7月、232条に基づき、ポリシリコンの輸入の状況に関する調査を開始した(2025年7月16日記事参照)。布告によると、商務長官は大統領への調査結果の報告の中で(注2)、ポリシリコンが太陽電池や半導体の製造に必要である一方、国外で生産能力が拡大し過剰な供給があったことにより、国内の製造能力が減退したと認定した。その上で、太陽電池や半導体用のポリシリコンおよび派生品の国内市場を保護するために、MIPの設定や関税の賦課といった輸入制限措置を実施するよう大統領に勧告した。勧告を受け、トランプ氏は今回の布告で次の措置を決定した。

○MIPの設定と順守に向けた取り組みの実施

  • ポリシリコンおよび派生品(注3、添付資料表参照)の輸入に対してMIPを設定する。
  • 米国税関・国境警備局(CBP)は輸入業者に対し、輸入申告時に(1)輸入品(または輸入品を原料とする下流製品)の米国内での最初の販売価格がMIP以上となることを示す書類、または(2)輸入品(または下流製品)の米国内での最初の販売が、布告署名日(8月6日)以前に締結された契約に基づくことを示す書類のいずれかの提出を認める。輸入業者が当該書類を提出しなかった場合、MIP相当額の特定関税(specific tariff、注4)を課す。
  • 輸入業者が提出した書類に記載された、輸入品または下流製品の価格がMIPを下回る場合、その差額分に相当する特定関税を課す。
  • 米国東部時間2026年12月4日午前0時1分以降の通関に対して適用する。

○15%の追加関税発動

  • ポリシリコンのインゴットおよび派生品(注5、別添資料表参照)に対して、15%の追加関税を課す(注6)。
  • ただし、英国に対する追加関税率は10%。また、日本、韓国、台湾、スイス、リヒテンシュタイン、EUに対する追加関税率は一般関税率(MFN税率)との合計が15%とする。
  • 米国東部時間2026年12月4日午前0時1分以降の通関に対して適用する。

○そのほかの措置

  • ポリシリコンおよび派生品の輸入監視:MIPや追加関税の導入前に企業がそれらを備蓄していると商務長官が判断した場合、当該企業および関連会社に対し、輸入制限措置を講じる。
  • 米国内への投資奨励に向けたプログラムの策定:商務長官はポリシリコンの原料や派生品の国内生産計画を民間企業から募集する。商務長官が計画を承認した場合、必要な生産設備や対象製品の輸入について、商務長官が認めた数量の範囲内で、232条関税の支払いが免除される(注7)。

(注1)232条は、特定製品の輸入が米国の国家安全保障に脅威を及ぼすと商務長官が判断した場合に、追加関税などの輸入制限措置を発動する権限を大統領に認めている。

(注2)具体的な報告の日付や内容は明らかでない。

(注3)対象品目の関税分類番号(HTSコード)およびMIPの水準については、別添資料表参照。なお、布告では、市場の状況などに応じてMIPを随時調整する権限を商務長官に与えている。

(注4)この特定関税は、後述の追加関税に上乗せするかたちで適用される。

(注5)対象品目のHTSコードについては、添付資料表参照。なお、ポリシリコン(HTSコード2804.61.0000)はMIPの対象品目に含まれるが、追加関税の対象品目には含まれていない。

(注6)追加関税はMFN税率に上乗せされる。英国に対する追加関税も同様。

(注7)ここでの232条関税が、今回発表された関税のみを指すか、232条に基づき課されている、ほかの品目を対象とした関税を含むかについては明記されていない。

(滝本慎一郎)

(米国)

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