モロッコ内務省、セウタ・メリリャへの大規模越境について見解を発表

(モロッコ)

ラバト発

2026年08月14日

モロッコ内務省のラシッド・エル・ハルフィ報道官は8月2日、数万人規模の人々がモロッコ側からスペイン領セウタ(Sebta)およびメリリャ(Melilla)への越境を試みた大規模越境事案について、偶発的な出来事ではなく、SNS上の誤情報の拡散や人身売買組織の活動など複数の要因が重なって生じたとの見解を示した。モロッコ国営通信MAP(Moroccan News Agency)が報じた。

同報道官は、モロッコ内務省による分析結果として、一連の事案は一時的または自然発生的な現象ではなく、欧州への渡航が容易であり法的な問題も生じにくいとの誤った認識が広まったことが背景にあると説明した。特にSNS上で流布された誤解を招く情報や、一部の司法判断に関する不正確な解釈が不法移民希望者を誘引したと指摘した。

同省の説明によると、治安当局は事案発生の初期段階から予防的かつ包括的な対応を実施した。具体的には、警戒レベルの引き上げ、治安機関および地方当局の動員強化、陸上・海上における監視体制の強化を行った。これにより、人命の保護や公秩序維持、国境管理を図ったと強調した。

同省の統計によると、セウタ方面へ向かった人は約4万人、メリリャ方面へ向かった人は約1,135人に上った。このうちメリリャへの到達者については、全員が即時送還されたという。これらの数字は現地監視システムを通じて収集した正確なデータに基づくもので、一部で流布されている数値とは異なるとしている。

また同報道官は、海上で拘束した不法移民を即時送還するとしたスペイン司法当局の判断が誤って解釈され、「泳いで渡れば送還を免れられる」との認識が広がったことも要因の1つと指摘した。セウタ周辺ではモロッコ側との距離が70メートル未満で水深も浅い地点があり、危険性を過小評価した渡航希望者が増加したとしている。

モロッコ政府は、移民問題への対応には国際社会による責任の共有と協力が不可欠であると強調した。その上で、不法移民や人身売買への対策を強化し、治安維持と国境管理を引き続き徹底する方針を示した。

なお、スペインのペドロ・サンチェス首相は7月31日、セウタを訪問し、今回の大規模越境について「スペインの領土的一体性に対する攻撃であり侵害だ」と述べるとともに、国家のあらゆる手段を用いて治安と国境管理を確保する考えを示した。また、モロッコとの協力により越境者の送還を進めていると説明した。

(鈴木優香)

(モロッコ)

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